75.さよならだって惜しまない/DRRR!!/静雄
下校時間の帰宅路で師原ユーリは見た。
平和島静雄が戦っている様を。
十数人の男が、学生服を着た男子高生に襲いかかっていく。最初は、理不尽な喧嘩だなと横目で流した程度だった。しかし、一瞬で思考が吹き飛ばされる。
男子高生が一人の男を殴った。至って普通に。熟練された格闘技のようなキレがあるわけではない。苛々したときにクッションを殴るあの感じで、大の大人を殴り飛ばした。
ユーリは生まれて初めて目を奪われた。興奮し、心を奪われた。
その場に立ち止まり、始終男が殴り飛ばされるのを見ていた。男子高生は倒れそうで倒れない。あっという間に、彼の敵は地を這い無残に散らばっていた。
ユーリはもっと見たいと思った。彼の暴力をもっと見たいと。その為なら何を犠牲にしても構わない。
その日、彼女は学校を変えた。
無色な世界、ばいばい
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