26.狼さん、いらっしゃい/DG/アレン




「ただいま、遅くなって悪い」

「おかえりなさい! ……」

「なんだよその無言は」

「ユーリ、酷い怪我してませんか」

「電気もつけてないのによくわかるな。そんなに歩き方がぎこちなかったか?」

「血の臭いがしたから」

「お前は吸血鬼か」

「あはは、クロウリーじゃないんだから。それに僕の場合、ユーリ以外の血は吸えないから、すぐ死んじゃいますよ」

「吸われたら俺が死にますね、わかります」

「もう……無駄話はいいからこっちきてください。手当てしますから」

「いてえええ!」

「色気のある声出せないんですか?」

「……出してどうする。あ、体がこんな状態だから、絶対防御完全拒否だぞ」

「やだなあ、別に襲おうなんてちょっとしか思ってないよ」

「思ってるんかい」

「色気は手当てしてあげてる僕へのサービスだと思えば、安いと思うけどなあ」

「わりぃな色気なくて」

「……」

「なんだよ」

「いや、その、拗ねたユーリって可愛いなと思って」

「外に追い出してやろうか、この変態め」

「そんな力もないくせに」

「ってぎゃあああ、押し倒すなあああ」

「なにもしないですよ、ただちょっと生意気だから口塞いであげます」


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あきゅろす。
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