47.深く甘い愛と、/復活/沢田
「駄目だ!」
「こら、綱吉。書類を巻き散らすな。」
ここはボンゴレ総本部。綱吉の部屋。ボスである彼はデスクに伸びて手をぶらつかせている。手に押されて流される書類。誰が片付けると思ってるんだろうね。まさか私じゃないですよね。
「ユーリからチョコレートをもらう方法が思いつかないんだけど、何か良い方法ある?」
「は?」
名前を出された私は床に散らばっている書類を集め、デスクに戻した。大雑把に纏めたので細かい順番等は骸か雲雀あたりにお願いしよう。こんな面倒くさい作業は御免だ。
「もう夜なのに、俺はユーリからチョコをまだもらってないんだよ」
これはどういうことだ、と真面目な顔をして頭をかく綱吉。その様子を見て私はきょとんとするしかなかった。この子そんなことを一日中考えてたのか。チョコレートそんなに好きだったのか。苦く笑った。それなら悪いことをしてしまったね。
「欲しかったんだ」
「当たり前じゃん」
自分の発言で我に返り顔を赤くする綱吉。馬鹿か、この子。ああそれより困ったな。チョコレートなんて用意してないよ。ごめんね。綱吉の頭を優しく撫でる。
「チョコ以外で何か賄えそうなら賄うよ」
「あ、やっぱり」
がっかりしている様子を見て、仕方ないでしょと溜め息を吐く。だってそんなにもチョコレートが好きだったなんて知らなかったんだもの。明日からお菓子は茶色まみれにしなくちゃ。太っても細くても私は気にしないよ。
突然、何かを思い付いたのか綱吉は顔を上げて嬉しそうな顔をした。
「じゃあさ、この資料が片付くまで手伝ってよ。それでその後一緒にお風呂入って一緒に寝よう?」
「……りょーかい」
この年で風呂に一緒に入るのはどうかと思うが、チョコレートを忘れた私にも(おそらく)非があるので、何も言わないことにした。
チョコレートのような二人!!
(来年はちゃんと用意しよう)
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