21.生きがい=君/hackS/司
The World中。
司とユーリはマクアヌで、並んで座って夕日を見ている。


「なあ……司、このままやり続けたら、カンストする気がしてきた」

「ユーリは何か不満でもあるの」

「あるね」

「ぜーたく」


司は溜め息をつく。


「なんだよその上から目線は……」

「上から目線? 違うね。ユーリが楽しんでないって知って、ガッカリしてるだけだよ」

「……楽しんでないわけじゃない」


ユーリはそっぽを向く。


「あら、お二人とも喧嘩ですか?」


昴がやってきた。
昴は俺たちの後ろに腰を下ろす。


「喧嘩じゃないよな」

「知らないよ」

「うっわ、可愛くねーやつ」

「知ってるよ」


昴は溜め息をつく。


「原因はなんですか?」

「昴、あのね……ユーリがThe Worldつまんないって」


ユーリは司を見る。


「んなこといってねーし」

「私もユーリさんがその様なことを仰有るようには思えませんけど」

「昴はユーリの味方するんだ?」

「違います。司と出逢ったこのThe Worldに、そのような感情をいだくはずかないと」

「そうなの?」


司がユーリの顔を見る。


「……昴、俺をいじめたいのか」


ユーリはそっぽを向く。


「いえ、私はただ本当のことを話しただけです。司は気付いていなかったのですか」

「うん」

「恐らくユーリは、いつものように言葉が足りなかっただけでは?」

「いつものようにって、おい」


昴は微笑む。


「ふふ、それでは邪魔者は退散します。お二人とも仲良くしてくださいね」


昴は立ち上がると、足早に去っていった。


「……」

「……」

「……ユーリってさ、どのくらいこの世界好き?」

「司には負ける」

「ユーリってさ、この世界にいるときって楽しい?」

「司がいなきゃやんないかも」

「ユーリってさ……」

「リアルの司が一番スキ、なの」




傲慢な理解力
(知ってる)(知らないよ)
(君にただ、触れたいだけ)

[*前へ][次へ#]

21/200ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!