24.暗闇の街の中に/EVA/カヲル



人間はどこから生まれた?
おかあさん?

そうじゃない、
人間は海から生まれたのだ。

私は夜の海が好きだった。
海で歌う少年も同じように。
でも、彼は死んだらしい。

人の手にかかって
私の知らないところで
私の見えないところで
あの少年は死んでしまった

海は何でも教えてくれた
だから、私は悲しみを知った


「……歌はいいよ、少年」


月浮かぶ青白き海。
語る人虚しく、寂に堕ちる。


「やっと話しかけてくれたね」


私は驚いて、振り向いた。


「どうして……」

「それは君の大好きな海が知っているんじゃないかな」


海が鳴いている。


「身体は前のと違うけど、此れでリリンと一緒だよ」

「なんで……」

「気になって、戻ってきたってところ」


そう言って、少年は微笑んだ。


「……気の利いたこと言えないけど、生きてくれてありがとう」

「じゃ、僕も。待ってくれてありがとう」




名前も知らない君へ




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