257.特別扱いするんじゃなくて、もう一度昔みたいに/dg/アレン

僕が14番目の宿主であると発覚してからというもの、周りの視線や態度は急激に変わった。監視下におかれるようになるし、行動制限も大きくかかった。一変した生活を送る羽目になったが、彼女だけは何も変わらないでいてくれると信じていた。

「ユーリまで僕を拒絶するんですか? ユーリまで僕を避けるんですか?」
「違う アレン」

伸ばした手をぱちんとはねられた。僕は一体何が起きているのかわからなかった。でもすぐ気が付いた。悲しいことが起こったのだと。

「ユーリ……」
「アレン、違うの。私、いやユニオンが怯えれるの。おそらく14番目に」

これ以上は言えないけど、と悲しそうな瞳で僕を見つめてくる。そして徐に彼女は手を下ろして、僕にその手をすっと伸ばしてきた。体が動かなかった。彼女は僕の髪を一房掴むと、それに唇を落とす。また一瞬何が起きたのかわからなかった。

「好きよ、アレン」
「ユーリ、人に見られてるから……」
「唇のほうがよかった?」
「そうじゃなくて!」

慌てる僕を他所に、ユーリはぎゅっと抱きしめてくる。少し痩せたみたいだった。僕に会えなくてこうなってしまったのなら、少し嬉しいなと不謹慎ながらに思ったりして。

「アレン。またしばらく会えないけど、私は最後まで最期まで貴方の味方であり続けるからね」

ユーリは小さな声で呟いた。そしてぱっと体を離すと、にこっと笑って踵を返してしまった。ユーリ、ユーリ。どこにもいかないで。僕のそばにいて。そう思ったけど、監視者は許してくれなかった。

この呪いが解ける日はくるのだろうか。

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