242.なつかしい空/DG/アレン
※ぐろい?
白い花が舞う。
この季節になると、隣りにいる君は「すぐ散ってしまうね」って残念そうに笑う。僕はその幹に触れて、彼女の切望を少しでも叶えてくれたらいいのにと額をそっと当てた。平和なんて都合のいい日常は望まないから、少しの間でも彼女が笑える時間が増えますように。
「アレン」
なんですか、そう振り向くと彼女の肢体は吹っ飛んだ。僕の体に飛び散るのは安寧の血肉。もう彼女の姿はどこにもなかった。パズルみたいに一生懸命組み合わせようと、ピースを掻き集めるけど、接着面の赤がどことどこに合わさるか全く分からない。
「愛があっても出来ないこともありますね」
イノセンスを発動させ、獲物を屠る。正面には無数の敵。僕は道化師だ。君を壊した怪物を壊して、こんな悠長に笑っていられるんだから。頬に伝うのは涙より血液。君染められた白い花が僕の肩に落ちる。
「この一瞬が美しいなんて嘘」
憎悪の眼で夕空を見る。世界は嗚呼なんて無常だ。
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