308.「いい人」の定義/DG/アレンラビ
「はっ!」
ユーリは修練場でアレンと組手をしていた。
「デートってこれですか!? った! 危な!」
「肌と肌が激しくぶつかり合う音! 最高にセクシーなデートじゃなっ きゃあああ!」
ユーリは派手に吹っ飛ぶと、足で態勢を取り戻す。アレンは一瞬焦ったが、容赦無く攻撃を繰り出す。
「ったくよー、アレンの馬鹿野郎!」
「うああああユーリ男になってるじゃないですか!」
アレンはその場で急停止。うるっとした瞳で彼を見つめる。
「お前が吹っ飛ばすから防衛本能でイノセンス働いちゃったんだよ。今日の夜は無しだな?」
「……やだあああああ」
アレンの悲痛な叫び声が響いた。
*
「ユーリ!」
「あんだよ」
「ご飯持ってきましたよ! もー、機嫌直してください!」
「別に…」
二人きりの医務室でアレンの持ってきたおにぎりをもぐもぐと食べ始める。
「俺もアレンとしたかったからさ」
「あー、うー、しょうがないですよ。こんな日もあります」
ちまちまとサンドイッチを食べながらアレンは俯く。
「アレンが受けになってくれるなら夜頑張らないこともない」
「ええ!?」
ゴホゴホと咳き込む少年。
「性欲は性欲だろ。男の姿でも女の姿でも一緒だと思うんだ。試してないからわからないけど」
「ご飯中にそういう話はよしましょうよ!」
慌てたアレンは真っ赤になって落としそうになったサンドイッチをじっと見つめる。ユーリは面白そうにニヤニヤと見つめている。
「冗談だよ」
「ですよね」
「今晩のところはな。ラビに参考文献ないか聞いてこよー」
「え!? ちょ、待ってくださいよ」
ユーリはぱくぱくっとおにぎりを頬張ると立ち上がって目的地へと向かい始める。アレンは慌てて持ってきた食べ物を担ぐ。
*
「 ユーリ、それは誰に使うつもりなんさ?」
「アレンに」
「だよなー そんなマニアックな本あっかなー」
ラビはぽりぽりと頬を書きながら山積みの本だらけの部屋を漁り始める。
「ユーリせっかく男なんだから女子とすればいいさ」
「した」
「あっそ」
「でも男とするのは始めてだし、知識がないとアレンがキツイだろ」
「あーそれ以上はいいさ」
いけしゃあしゃあと発言するユーリに釘を差す。ラビは奥の奥にあった本を取り出して、これが最後の砦だー! と頁をめくった。
「これさ?」
「やっぱどの時代もマニアックな書物はあるんだな。後は材料か」
「ユーリーーーー!!」
砂埃を巻きながら、ラビの部屋へと突入してくる。
「また二人でラブラブしてるんですか!? 今日はダメですよ! 僕のユーリです!」
「アレンってば誤解してるさ」
「しっ、あれはあれで面白いからいいんだよ」
ユーリはラビの額に軽いデコピンをいれて、本を脇の下へ拝借する。
「アレン、とりあえずそれ食べてくるか返してきてから俺たちの部屋においで。イチャイチャしてやるから」
「本当ですか!? 豪速球で行きます!」
自分の部屋から二股に別れる二人を見て、ため息を隠せないラビだった。
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