234.君研究会/進撃/ハンジ
めでたく付き合うことになった私とハンジさんは、それはもう仲睦まじく……
「おい いい加減にしろ」
リヴァイ兵長のがなり声が耳に響く。
「だって今日はオフなんだよ? ユーリちゃんとイチャイチャして何が悪いのさ?」
「ユーリは仕事中だ」
「あーかわいそう。休日まで駆り出されるなんて! この鬼兵長のところなんて辞めて、私のところにおいでよ」
後ろから抱きかかえる形で頬ずりをしてくる。私はひたすら兵長の精神的重圧とハンジさんの物理的重圧に耐えながら書類を選定する。
「私ならユーリちゃんのことなんでもわかるわよ。WHBサイズ、趣味嗜好、好きな食べ物、好きな動物、好きな色、好きな人……あ、もちろん私ね!」
リヴァイが呆れ顔で30分だけだぞ、と呟いた。私もハンジさんの猛アピールに負けそうになっていたので助かったと思いながら、引きずられるように兵長の部屋を後にした。
「まったく油断もスキもないんだから!」
「なにがですか?」
「リヴァイよ! 保護者ぶって、私とユーリちゃんを逢わせないようにしてるんだから……」
いえ、それは考えすぎでは? と思ったもの彼の勢いが止まるわけもないので、無駄な抵抗はやめることにした。
「さー! 30分と言わずにユーリちゃんのこともっといっぱい調べましょう!」
「へ、兵長に怒られます!」
約束を守らないのはさすがにまずいのでは? 叫ぶ私の目の前の人がぱた、と進んでいた足を止めた。
「ふーん、ユーリちゃん。俺よりリヴァイをとるんだ?」
「そんなつもりは……」
雰囲気がガラッと変わったハンジさんが振り向く。瞳は冷たい。絶対的支配だ。嫌いじゃない自分もいるけど、やっぱり怖い。
「私、ちゃんと兵長に言ってお休みもらってきます!」
「あら!」
ハンジさんの手から抜け出して兵長の部屋へと逆戻り。これならきっと怒られないと、全速で駆ける私の後ろで「こういう一面もあるのね」なんてユーリ専用ノートに書き連ねてたなんて、知る由もなかった。
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