277.気づいたらとなり /黒子
「手、冷たいよ」
「冬ですからね」
「ストーブまで歩いてく?」
「いえ、ここでユーリさんと雪を眺めていたいです」
「そうね。此処は綺麗だもんね」
「それに、くっつけばあったかいですよ」
「……黒子くんて彼女いるの?」
「え? なんですか急に」
「たまに恥ずかしいことさらっというから、女の子慣れしてるのかなって思って」
「慣れてませんよ。思ったことを言ってるだけです」
「それで? 肝心の返答は?」
「何がですか?」
「彼女いるの、ってやつ」
「いますよ? 目の前に」
「…雪?」
「どっちかっていうと林檎みたいな人ですね」
「いやいや、そんなの初耳ですけど?」
「というか、ユーリさんは恋人でもない人と休日出かけたり、手を触れ合ったり、部活の応援にまで来るんですか?」
「友達なら普通じゃないの」
「はあ、男はそう思わないんですよ」
「え、紛らわしいことしてごめん?」
「なんで疑問系なんですか。ていうかもしかして僕振られてます?」
「え? あ…そんなつもりは全然なかった」
「それは? どっちの意味で?」
「振る、のほう」
「…うーんと、つまりそれは」
「言わせる?」
「いいえ、僕が勝手に好きになってあなたのそばにいるんですから、僕が言いますよ。十年後にでも」
「十年後?」
「そのくらいなら就職もして、ユーリさんのこと養えると思いますよ?」
「ちょ、え?」
「駄目とは言わせませんからね」

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