部活帰りの誰もいない昇降口で、貴方はやっぱり待っていた。
「黒子くん!」
「なんですか、ユーリさん」
「一緒に帰ろう。傘持ってきてないでしょ?」
そう、貴方はいつも僕を見つけてくれる。
「仕方ないから入れてあげる」
「ありがとうございます」
僕が少し笑えば、貴方は真っ赤な顔をするからおかしくて。
「ユーリさん、林檎みたいになってますよ」
「なっ! 気のせいよ! そう、夕日が…って雨だからそう見えるだけ」
癖で眼鏡を掛け直す貴方。照れた表情を隠すなんてもったいないです、なんて。
「それでも可愛いです」
「…黒子くんの馬鹿」
「貴方にならそう言われるのも悪くないですね。それじゃ一緒に帰らせてください」
貴方が持ってる柄に手を添える。ぶるっと震えるその動きが愛しくて。