227.真面目な貴方も好きだけど/ハウル
「ちょっ、ハウル何してるの!?」
「何って…ユーリの横で寝ようとしているだけだよ」
一戸建てのスペースがありながら、何を好き好んで窮屈な思いをしなければならないのか。ましてやハウルには自分の部屋があるというのに!
「だって戦闘で疲れちゃったんだ。このくらいの甘え許されないなんておかしいよ!」
「私にあたるな」
追い返そうとしている私に抗って抱きついてくるハウル。全然元気じゃないですか。だが、突然相手の力が緩む。
「ユーリは僕と一緒に寝るのがそんなに嫌だっていうの…僕を一人にするの」
ぐすぐすと言い始めた。こうなると面倒くさい。下手すると闇の魔術まで発動させてくるし、とてもネガティブ思考なのだ。
「違う! 恥ずかしいの! ハウルっていい匂いするし、ドキドキするんだもん!…って私何言って」
「じゃあ僕と寝ようよ」
「話聞いてた!?」
ハウルがぱあっと笑顔に花を咲かせてベッドに飛び込んでくる。あっという間に下に敷かれる私。ハウルのさらさらの髪が頬にあたる。
「ユーリ、好きだよ」
そっと、何度も唇を上から落としてくる。その度にぎゅっと目をつむる。私の腕をハウルがしっかり捕まえていて逃げれそうにない。
「ハウルの女たらし!」
「心外だな。ユーリにだけだよ」
細い指先で頬をなぞられる。あまりにも優しいその手付きにぞくっとする。それを見破られたのか、ハウルは妖しく笑う。
「僕はまじないに掛かってるんだ。ユーリしか愛せないって、愛さないって」
「解いてあげましょうか?」
悔しくて冗談を投げて見る。
「なっ、嫌だよ! このまじないはとっても気に入ってるんだ。死んでも解くつもりはないよ」
慌てて言い返してくるのが面白くて、私はハウルにキスをする。
「そうじゃないと私が寂しくて困るわ。ずっと好きでいて」
「ユーリっ!」
ぎゅっとだいて。そして、ずっと一緒に暮らして行こうね。
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