232.恋人コンプレックス/DG/アレン
今日は特別。って真夜中の三時。とっておきの貸切お風呂をジェリーさんが用意してくれた。黒の教団って謎が多いのよね。部屋なんていくつあるのかしら?

「ユーリ、のぼせたんですか?」
「ううん。考え事してた〜」
「もー、僕はユーリと久しぶりに一緒にお風呂はいるからドキドキしてるって言うのに!」

言うのに、言うのに。横から聞こえる少年声が無駄に広い風呂場が響く。いやあ私だってタオルと一緒に湯船に駆け込みたいくらいにはドキドキしてるよ。そりゃ、大好きな人と全裸でお付き合いだなんて。でも私の方が年上なんだし、少しくらい余裕を見せないとダメかなと思って。最初の思考に至る。

「ユーリは水鉄砲とかできる?」
「わかんない。どうやるの?」

楽しそうに掌の組み方を教えてくれるアレンくんかわいい!よ!と叫ぼうと思ったがやめた。今更だ。アレンは上手いこと水を飛ばしているのだけど、教わった通りに出来ない。これは修練が必要な技なのではないだろうか。

「難しいわね」
「ユーリって、こう庶民ぽい遊び苦手だよね」
「そんなこと! 例えば他に?」
「まくら投げとか? 影絵とか? 改めて聞かれるとわからないけどそんな感じ」
「はあまあ、箱入り娘とはよく言われてたけど」

未だ水鉄砲が出来ない手を解いて、アレンのほっぺたをぐにーんと伸ばす。

「意外とくだらないことは大好きよ?」
「いひゃいですっユーリ」

アレンのちょっと涙目になりそうな顔を見て笑う。ああ可愛い。お風呂上がったらあの手この手で組み敷いてあげましょ。

「あと、意外といやらしいですよね」
「やだなーアレンに対してだけよー」
「あはは、ありがとうございます」

こんなにじゃれ合える恋人が大好きです。


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あきゅろす。
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