243.月夜に見た君の瞳/dg/アレン
教団の外の柵にアレンが立っているのを見つけた。極たまに、彼がここにきているのを知っている。何せ私はアレンの家族でパートナーなんだから。
「綺麗な夜空だね」
「ユーリ……」
アレンは柵に手をかけたまま、伏せ目がちに振り向く。白い髪がキラキラ光って、夜空よりずっと綺麗だ。でも君は褒め言葉に受け止めてくれないから言わない。
「綺麗だけど、寒いね。アレンは明日早出でしょ?」
だって私も早出だからって笑うと突然ぎゅっと抱きしめられた。団服がはたはたと風にゆれる。アレンは私よりちょっと大きいくらいの男の子。温かい男の子。
「ユーリ、ユーリっ」
震えた声で何度も名前を呼ぶ。悲しいよね。アレンが見てる世界は壊れた魂とか歪んだ魂とかがいっぱい見えちゃうんだもの。私には見ることが出来ない世界。だから、アレンの悲しみは私の持ってるすべての器で受け止めるからね。
「ずっと一緒にいるよ。アレンのこと見てるよ。アレンがどんなに壊れても」
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