228.はめを外したその先は/夏目


屋上から見える雲が風にゆらりゆらりと流れて行く。今日の風速はやや早めだなと思いながらフェンスにもたれかかる。今、ここには私しかいない。部活のある子も帰っている時間だ。警備員さんを上手く避けて、この満天の夜空を堪能している。今日も何不自由なく生きられた事に感謝して、家庭科の授業で作ったおにぎりを食べる。もぐもぐ。梅干しもいいが、鮭も食べたいところだ。水筒の麦茶を飲み込んで、パパとママが心配してるかなあ、まだ大丈夫かなあと少しだけ杞憂する。

そこに、でっかい白い犬に乗った級友の夏目くんが映った。


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あきゅろす。
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