237.君を過剰摂取/DOD
日本。東京タワー。19XX年。


「カイム!!」


女は青い馬に跨り天空をかけた。最愛の人の名を呼び、手を伸ばした。捕まることなく落ちて行く様を見て、間に合え間に合えと心で叫んだ。

呼ばれた彼の口元は確かに動いた。ユーリ、と。


「カイム! 一緒に、」


潰れる音がユーリの言葉を遮った。熟れた果実が鋭利な槍に突き刺さっる。一本の傷口から溶け出す。徐々に燃えていく。

ユーリは両手で口を覆った。腐った血の匂いがする。焦げた体臭がつんと鼻をさす。あまりの気持ち悪さに嘔吐した。

声にならない叫びが嗚咽が感情が衝動が、全身を駆け巡る。燃えカスが肺に詰まって上手く息ができない。喉に手をあてる。もう、彼らは戻らない。もう、誰もいない。不幸の呪いはここで終わった。

ユーリは急に動きを止めて、途端に大きく笑った。

我武者羅になって乗っている馬の羽を引きちぎった。血飛沫が上がる。ユーリは真っ赤に染まる。毟って毟って、地面に叩きつけられるまでユーリはずっと笑っていた。


あでゅーせかいぐっばいまいらいふこんなみにくいせかいでもおいしいものはたくさんたあくさんありましたけどせえれもありおーしゅもれおなーるもみんなみんなだれものこってないものねかいむあいしてるよさびしいさびしいこのせかいでわたしはあなたをたべなくてよかったとおもっていますほんとうだよ貴方といるだけで気持ちがいっぱいになったから




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