32.惚れた弱味ってやつです/VC/初音
マスター、おかえりなさい!
マスター、今日はどうしたの?
マスター、ボクが傍にいるよ!
家へと帰ってきたマスターに伝えたいことはやまほどあるのに。
マスターはとても悲しそうな声で言いました。マスターはとても悲しそうに笑っていました。ボクはうんうんと頷きましたが、マスターには見えていません。
ずるい、ずるい、ずるいよ、マスター。ボクには貴方が見えてるのに。息が詰まって、視界がボヤけて、それでもマスターが見えてるのに。貴方が見えていないなんて。
マスターはボクに尋ねます。マスターはとても悲しそうな顔で泣いていました。ボクはただディスプレイを殴り続けます。それでもマスターには届きません。
会いたい、会いたい、逢いたいよ、マスター。ボクは諦めたくないのに。夜が迫って、生きてるだけで、マスターは眠りにつかなきゃいけないの。また明日もこの繰り返しデス……
モニターの中
「人間だったら良かったのに、ね」
(届かないのに)
(貴方が好きでごめんなさい)
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