216.見つからない奇跡/TOA/被イオン

「またここにきていたのか」
「あら、イオン。あなたこそどうしてここに?」
「寄り道だよ」
「ずいぶん遠い寄り道ね」
「……君は杖の欠片を集めてどうするつもりだい?」
「どうもこうも、大事なものだから取り返したいだけよ」
「僕が新しく買ってあげたっていうのに、なんかおもしろくないな」
「寄り道ついでに手伝って」
「やだね、僕には関係ない」
「飼い主は最後までペットの責任を見るもんじゃないの……はあ、いいわよ。どこへでもいくがいいさ」
「いる」
「意味分からん」
「君は散歩をするのに理由がいるの?」
「……欠片、欠片っと」
「ふーん」



君はいつも異世界の鍵を探している。破壊された赤い竜の話も破壊されたレプリカの世界も、僕には遠い話だ。

けど、君は見付けたらいなくなってしまうだろう。僕をおいて帰るのだろう。

「それならこんな欠片……」



永遠の秘宝
(そろそろ諦めてくれたらいいのに)
(僕のものになって)


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あきゅろす。
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