08.最後に黒板に書いたコト/鋼錬/兄弟
「はあ〜」
「溜め息なんて吐いてどうしたの?」
「兄さんが変なんだよ」
「あらあら、そんなの昔っからじゃない。で、今度はなにがあったの?」
「兄さんが夜遅くまで書斎にこもっていたからさ……」
『兄さん、早く寝ないと明日に響くよ』
『あともうちょっとなんだ、あともうちょっとで何かが……』
『分かっても兄さんが倒れたら意味がないでしょ!? あとは僕が調べておくからっ』
『邪魔しないでくれ、アル』
「結局、昨夜一睡もしてないみたいなんだ」
「うーん、また賢者の石関係じゃないかな」
「それだったら僕に言うよ……本当、どうしたんだろう」
「なんにせよ、大事な兄さんが死なないように見張ってたら?」
「そうしたいんだけどね……目の前の人も放っておくといなくなっちゃうから」
「ご苦労様です」
「もー、自覚あるならちゃんとしてよね」
「文句ならエンヴィーに言ってよ」
「……はあ、とりあえずユーリも兄さんのところに行こうよ」
「私が馬鹿弟のところに、自ら進んでいくと思ってるの!?」
「ユーリって、本当兄さんのこと好きだよね……」
「はっ!? 私が好きな弟はアルフォンスのほうだって言ってるでしょう!」
「怒りながら言われてもなー、とりあえず兄さんが死んだらヤダから行くよ」
「はいはい」
「兄さん、入るよ」
「あ、アル……と、姉貴」
「なにその嫌そうな顔は!」
「姉貴こそ! なんで態々俺のところにくるんだよ!?」
「アルフォンスがどうし……むぐぐ!」
「まあまあ、落ち着いてよ二人とも……で、兄さんは何調べてるの」
「! ……なんでもねえよ」
「なんでもなくないよ、いつも夜遅くまで調べものしてさ」
「アルフォンスがどれだけ心配してるかわかってる?」
「わりぃ、けどこれは知られたくねーんだよ」
「……ぷっ」
「あはは、エド、絵下手クソすぎ!」
「兄さん、後ろのボード」
「なっ!? 見るな見るな!」
「隠すもなにも、エド、それケーキよね?」
「あ、そういえばもう少しでユーリ姉さんの誕生日……」
「うっ、うるせぇ! 俺は姉貴を祝うためのケーキなんて作ってねーからな!」
「……兄さん、馬鹿」
「う、嬉しくなんて無いんだからね!」
「ユーリもユーリで教科書通り過ぎだよ」
でぃあまいしすたー
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