01.君の体温は幸せの温度で、/D.G/Allen/
任務帰りの汽車の中、向かい合わせに座りながら、流れる夜空を眺めていた。
「ねえ、アレンは私が死んだら、AKUMAにしてくれるの?」
「何を言い出すんですか」
「答えて、私は真剣な質問をしてるの」
ユーリは目をつむる。
「……しませんよ。貴女を殺人兵器にしたって、なにも得られないじゃないですか」
「でも私の魂がアレンの中に入り込むのよ。文字通り表裏一体よ、それでも?」
「確かに僕は貴女が好きだし、貴女を手に入れるためならなんでもする」
「奇遇ね、私もよ」
「けどAKUMAにしたって、なったって……手に入らない」
「アレン、手を出して」
「はい」
「じゃなくて左手」
「……はい」
「これで手に入った?」
「からかってますか」
「愛してるから訊いてるのよ。だからどうか、私をAKUMAにしないでね」
その十日後に彼女は死んだ。
病気か任務か将又別のものか。
横たわる彼女の前に立つ。
そっと手を握り締める。
生前より冷たい手のひら。
それでも、悲しくはなかった。
泣いたのは、彼女だったから
僕は、もう。
苦しみで満たされていた
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