♪St. Valentine's Day 2009
張コウさんと淮にゃんの場合

今年も、うきうきバレンタイン。
焦げ茶色の猫は、去年よりも猫らしく出来ました。
早く貴方に見てもらいたい、な。

「ちょーこーどの、はい。ことしもチョコをどうぞですよ。」
「ふふ…今回も、お前とホウ統で作ったのか?」
「ひなさんも、いっしょにつくりましたよ。」
「徐庶に作ったのか?…猫の方よりも、更に素直にチョコレートを渡さなそうな気がするが…」
「といいますか、バレンタインのいみを しらなそうでしたよ。」
「…では、どう説明したのだ。」
「きょうは、じょしょさんにチョコをあげると"いいこと"があるひなんですよ。といって つくらせましたにゃ。」
「…では、猫のホウ統も共犯か。」
「まあ、そうですね。」

今頃、どうなっている事やら。

「ひなさんからは、あとでおこられておきますよ。」
「ふ…そうだな。…それで、貰ってもよいのか?」
「あ、はい。どうぞ。」

ちょこん。

「…では、今年は俺からもだ。」
「にゃっ?」

きらきら。

「…にゃあ。」
「…?…どうしたのだ、郭淮。要らぬのか?」
「いいえ、そんなことはないですよ。…でも…おれがつくったのと、ちょーこーどのがつくったのでは つりあわないかなとか…」
「ふっ…何だ、そのような事か…これは、お前にしか作れぬチョコレートであろう?」
「…それは、そう…ですね。」
「それを貰える俺は幸せだ。…だから、気にするな。」
「…にゃ…ありがとうございますにゃ、ちょーこーどの。おれも、ちょーこーどののチョコをもらえて しあわせですよ。」
「ふふ…ところで、確か去年お前は…チョコレートよりも、俺が欲しいとか言っていたな。」
「にゃ、よくおぼえてますね…」

がさがさ。
…はみっ…

「…そら。」
「ちょーこーどの…ふにゃ…」

貴方が作った焦げ茶色の猫を、貴方の口唇と一緒にいただきます。
とろとろになりそうなのは、貴方のせい?チョコレートのせい?
猫の口の中で、猫はとろりと甘い恋心を残して消えてゆく。


徐庶さんと統にゃんの場合

今年も、どきどきバレンタイン。
焦げ茶色の猫は、入れ物にきっちりと収められて待っている。
頑張った訳じゃ、ないんだから。

「じょくん、そ、そら。また…かくわいたちとチョコレートをつくったから。ほかに、その、あげるあいても おらんからな。」
「ほっほ!今年も貰えるとは…やれ嬉し、ありがとうのホウ統。」
「う、うむ…って。…それはなんだ?じょくん。」

どっさり。
きらきら。

「ん?このチョコレートか?」
「…そんなにたくさん…あ、ああ…だいがくで、もらってきたのか?よ、よかったではないか。」

自分のが。
ちょっと、霞んでしまうくらい。
残念だなとか、嫌だなとか、そんな事は…無い、なんて。

「ああ、違う違う。私が買ってきたんじゃ。ほっほ!」
「…は?」
「まあ、確かに幾つか渡されそうになったがのう、総て断った。」
「えっ、な…」
「ホウ統から貰えれば、それで充分だからなあ。」

なでなで。

「…あ、あげなかったらどうするつもりだったのだ…い、いや、それでなぜ こんなにチョコレートをかったのだ。」
「何でも、今年は逆チョコなるものが流行りだというからの。ホウ統にあげようと色々見ておったら決めかねてなあ、で、全部。」
「ぜ、ぜんぶって!」
「ほっほ!まあ良いではないか。総て、ホウ統にあげるからの♪来月も楽しみにしておれよ。」

なでくりなでくり。

「…ば、ばかもの…こ、こんなにたべられるか…というか、もらうわけにはいかぬだろう…」
「何故じゃ?」
「わ、わたしの…ちいさなチョコでこのように…もらいっぱなしになってしまうではないか。」

流石に、申し訳ない。

「全く、全く…変に生真面目なんじゃからなあ、ホウ統は。」
「し、しかし…」
「それとも、私からチョコレートを貰っても嬉しくないか?」
「ち、ちがう!そのようなことは…ない、が…」
「だったら、の。」

きゅむ…

「じょ、じょくん…?」
「嬉しいなら、素直に笑って受け取ってくれた方が嬉しいぞ?」

そう、か。
君が、笑って私のチョコを受け取ってくれるのが嬉しいのと。

むぎゅ…

「ホウ統?」
「…ありがとう、じょくん。」
「ほっほ!これ、これ。そんなにしっかりとしがみ付かれては、笑うているのか分からんぞ?」
「ふふふ…」

沢山の甘きに囲まれて。
何よりも、おおきなおおきな君の甘きに包まれて。
私は笑えている、よ。


蟹さんと雛うさぎさんの場合

今年が、はじめてバレンタイン。
猫に誘われ悪戦苦闘、出来上がった焦げ茶色のあにまるは。
「良い事」って、何だろう?

「おい、じょしょ、じょしょ!」
「…帰ってくるなり、どうしたのだ、雛…?」
「ほら、チョコやるよ。」

じゃーん。

「…雛…俺に、バレンタインのチョコレートをくれるのか…?」
「ん、ああ。なんか、かくわいたちが きょうはじょしょにチョコをあげると"いいこと"があるっていうからよ。」
「"良い事"…?…確かに、来月の同日にお返しは行うが…」
「え、すぐじゃないのか?」



「雛…」
「なんだよ。」
「その、そもそもバレンタインの意味を分かっているか…?」
「だから、じょしょにチョコをやると"いいこと"があるんだろ?」
「…どう言ったものか…」
「ちがうのか?」
「…つまりだな、この日にチョコレートを贈るという事は…想い寄せる相手に愛情を告白する意味を持つ、という事だが…」
「…はっ?こくは…」



あ い つ ら 。

「ま、まてまてまてまて!ちがう!いや、ちがうっつーかアレだ!おもいちがいっつうか!」
「…まあ、昨今ではそれなりに親交が有る者同士で感謝的に贈るであるとか、形は様々で…」
「そっちをさきにいえーッ!そ、それだ!それ!」

ぶんぶん。

「あまり、チョコレートを振り回さぬ方が…」
「うるせー!も、もういいからさっさとうけとれ!ばかかにっ!」
「…それでも、俺にくれるのか…?雛…」
「しょ、しょうがねえだろ。いまさら、やるっていって…ひっこめるわけにもいかねえし。」
「そうか…何であれ、雛からチョコレートを貰えるのは嬉しい…開けてみてもよいか…?」
「…もう、じょしょのだから…すきにしろよ。」
「では…」

がさがさ。
…ちょこん。

「……雛……これは…兎か、雛か、蟹か、いずれの型か…?」
「う、うるせーな!そういうやつだ!そういう!」
「…新種か…」
「……も、もう…いいからだまって くえ……」

ぱく…っ

「…美味しい…ありがとう雛…」
「…え、あっ…あ、ああ…そ、そうかよ…」
「雛…?…顔が赤いが…」
「う、うっせーよ…」

何だよ、今までで一番嬉しそうな顔しやがって。
もうちょっと、普段から愛想良くしろよ。
だから、余計。

…そういや、徐庶にプレゼントとか、初めて。か。

よく、分からねえ筈だけど。
そんな徐庶の顔を見ていたら、今日が持つ"良い事"の意味が。
少しだけ、分かった気がした。

■終劇■

◆今年の情人節ねた。
ちょこ淮だけ携帯打ちオンリーで、ちょっぴり構成というか見易さというか、うーん。
…上手くいかなかった、かな。
ログ上げの際に手直しをしようかと思いましたが、しかしやっぱり動かしようが無い(苦笑)
結局そのままです。
掴みをしくじった感があったりはします…たはは。
何と言いますか、僕の中でちょこ淮はナチュラルに存在している有様で…逆に、動かすのが難しくなっている部分はあります。
色々と正念場、です。
ちょこ淮も庶統も、まだまだ愛でていきますぞー!

2009/02/12〜14



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