A
交わらせていた目線を外す事無く、張コウは郭淮の下肢へと掌を伸ばす。
辿り着いた自身は既に立ち上がっており、つい…と、軽く指先を這わせただけでもびくりと反応を示して。
その感覚に、身悶える。

「…そんな口の後に、素直に鳴かせるのも悪くは無いのでな…猫?」
「…趣味が悪い、って言われちゃいますよ?張コウ殿。」
「構わん、どうせ言うのはお前だけだ。」

違うのか?
とでも言いたげな視線を落としながら。
郭淮は、それに負けじと強く眼を返すが黙して返答は無い。

「…そうだ。虎ならばまだしも、猫が咆えるのは似合わぬからな。」

自慢の口を伏せさせた事に、つい張コウは興を覚えた一言を付け足す。
しかしこれが。
流石に、郭淮の自尊心を障るところであったらしい。

「…俺はですねえ、張コウ殿。」
「…ッ、な…!」

完全に御した、と。
油断を持っていたのは事実。
急に身を起こし、自分の身体を捉えた郭淮に。
張コウは咄嗟に反応する事が出来ず、無理矢理に反転を強いられる。

「俺の意志で、抱かれているのですから。」

見下ろされる立場となった張コウだが。
圧し掛かりながら顔を寄せて笑む郭淮の姿を、幽かな光の中で捉え。
既に動揺を抑えて、静観を崩す事は無い。
そんな態度を見せる事は、郭淮も承知の上。

「あんまり猫だの何だの言う様でしたら…偶には、襲いますよ?」

しゅるり、と。
張コウの寝間着より帯を外し軽く胸元をはだけさせると、首筋にひとつ口唇を寄せて意を示す。

「咆えるな、猫が。」
「…もう、本気ですからね?今宵は…俺が上、ですよ。」

首筋から頬へ口唇は流れ。
塞ぐ事へと、変容する。

「…っ…」

割り開かせるつもりで開いた口唇。
しかし今は、逆に侵入を受ける入り口。


何時もそうしている様に、頬に掌を添えられ。
何時もそうしている様に、舌を絡め合わせられ。


何時も、そうしている様に。



丁寧に咥内を犯されゆく。



甘く蕩ける様な感覚も、変わらない。
ただ異なるのは、それが張コウの咥内である事だけ。

それだけなのだが。



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