夜になく猫は誘い招く
にゃあ、と。
聞こえる筈の無い愛らしい猫の鳴き声が聞こえた気がする。
純粋無垢な仔猫であろう甘え声。
しかしそれは、遊んでほしい等という可愛らしい誘いに非ず。
溺れる様な劣情への誘い―――


「…っ、ふ…」

寝床に仰向ける郭淮に覆い被さる張コウが口唇を重ね落とす。
平時、郭淮には気遣いと遠慮を見せる事もある張コウなのだが。
既に互いは裸身、身体の内から滾る情欲を抑える事はせず、たっぷりと時間を掛けて前戯を施して。
何故なら誘ったのは、猫だ。

ぬちゅっ、にちゅ…くちゅッ…

「ふ、うっ…んッ、んっ…!」

少し前には後孔を拓き解した。
張コウの指を三本、咥え込んでいた郭淮の後孔は、今は引き抜かれた喪失で淫らにヒクついており。
指で善い箇所を幾度も責められ屹立した郭淮の自身と、行為と情欲への昴揚から熱く勃起した張コウの自身も重なり合い。
その熱さに、郭淮は口唇を奪われながら身体を捩らせる。

……ちゅ…っ…

「…コレが好みか?」

にちゅッ、ぐちゅ、ぐちゅっ…!

「あッ、はァッ…あンっ…!」

郭淮の様子に気付いた張コウは、塞いでいた口唇を離すと。
先走りに濡れる両方の自身を握り、兜を合わせて扱き上げれば。
快楽に蕩けた瞳で張コウを見上げ喘ぎ、敷布を握り締める郭淮。
にゃあにゃあと、ねだる様。

「ン、ふッ…イイ、ですけれど…もっと善いトコロに…下さい…」

こんな時は素直なのだな、とでも言い掛けた張コウだが。
猫のおねだりを拒否が出来ない事は自分が一番、解っている。

「…もう少し脚を開け。」
「こう、ですか?」

互いの自身を握り込んでいた手が離され、郭淮は張コウの言葉に従い後孔がより露となるよう開脚。
零れ伝った先走りで妖しく濡れそぼる後孔を自ら進んで晒す。

「…それでいい。」

良い子だ、位は言って良かったのではと考える己が可笑しく、張コウは微かに口角を上げて笑み。
郭淮の後孔に自身を宛がう。

ぷちゅ…ズ…ヌッ…ぬぷ…!
…ぐぷぷ…ッ!

「ひ、アッ…奥まで来…て…!」

散々に解した後孔は蕾こそ少々の反発をしたものの、亀頭が入ってしまえば後はゆっくりと竿を呑み込み受け入れ。
逞しい剛直は肉壁を張コウのカタチに変え、ぐっぷりと。
郭淮のナカに張コウは根元まで自身を埋め込んだ。

「ちょう、こ…う、どの…」

縋り付く身体を欲して腕を伸ばす郭淮に応え、張コウが上体を寄せると埋め込んだ自身も押し進む。
張コウの首に腕を回した郭淮は、その刺激にギュッと抱き付き。
自分のナカで筋を浮かばせ脈動する自身を感じ、漏らす吐息。

「先程、お前が口にした望みというのはココまでだと思うが…?」
「だからこれで終わり…ですか?意地悪ですね、ですが…張コウ殿こそ"これ"で終われますか?」
「ふ…無理だな。」

ズ…ルッ…
ぐぷっ、ぐぷッ…ぐぽ…っ!
パンッ…パン、パチュッ!

「ひゃう…っ…あッ、アンッ…!イイっ、です…もっ…と…!」
「元よりそのつもりだ。…俺もお前も満足するまで、な。」

じゅぽッ…ぐぽッ、じゅぷっ…!

郭淮の腰を掴んだ張コウは、始めから手加減せず激しい抜き挿しで肉壁をゴリゴリと亀頭で擦り。
一突きする度に響く艶声。
幾度も穿たれる内に張コウのカタチを完全に覚えた後孔は、ただただ情欲を受け止めるだけの器官。
キュウキュウと貪欲に張コウの自身を締め、淫らに吸い付く。

じゅっ、ぽ…ぐぷ、ずぷっ!
……れろ…っ…

「ッ…そ、れは駄目…ですっ…」

キュウッ…キュン…ッ…

癖の強い栗色の髪から、ちらりと覗いていた耳に目が止まった。
突き立てる度に填められた耳輪を小さく揺らす、その耳に。
愛おしさが込み上げた張コウは、抜き挿しを緩め耳を舐る。
激しい一方の情交のみで終わらせる事を嫌い、ちょっとした戯れの時間を取っただけのつもりで張コウはいたのだが。
想像以上に郭淮の反応が好く、後孔はより一層、張コウの自身を締め付け美味しそうに咥え込んだ。

「成る程…もっとか。」
「違います、か…らッ…!」

ぴちゃ…ぴちゃっ、くちゅ…
れろっ、れろ…

「んふっ…ンッ、あっ、ア…」

可愛らしい鳴き声と心地好い自身への締め付けに、興が乗った張コウは郭淮の耳輪ごと丁寧に舐り回し、反応を愉しむ。
もっとも。
本当に弱いのか、それともまだ余裕を持って煽っているのか。
掻き立てられる支配欲も、猫の掌の内の算段通りに思える。
―――それでも、良い。

「張コ、ウ…殿…耳もイイ、です…けどっ…果てる時、は…」
「…そうだな。」

後孔に自身を深々と埋め込んだまま耳を舐られ続け、郭淮は張コウにしっかりと縋り付いたままビクビクと身体を震わせ。
張コウの下腹に当たる郭淮の自身、そして睾丸はパンパンに膨れ。
射精の近さが窺えた。

…ぐぷっ、ぐぷ、じゅぽッ…!
パン、パチュンッ…パンッ!

「あアッ、あっ、来る…っ…張コウど、のッ…ナカ、に…!」
「―――…っ…」

刹那で支配を広げた躊躇い。
本来、注ぎ込むような器官ではない後孔に精を受け止めさせるのは郭淮の身体に障るのではと。
そう考えていた己を思い出した張コウは、自身を引き抜き―――

…ぎゅうっ…

「!…郭淮。」
「駄目ですよ…ちゃんと誰のモノなのか教え込んでおかないと。」

でないと、猫は。

「余所へ行ってしまいますよ?」
「…恐ろしい宣告だな。では…確とその身に教え込もう。」

ズリュ…
じゅぽっ、じゅぽッ、じゅぶッ!
パンパンッ、パン、パチュッ!

「はアッ、あンッ…張コウ、ど…のっ…ちょう、こう…どの…!」
「く…出すぞ、郭淮…っ!」

びゅぶっ…びゅるるるっ…!
びゅる、びゅるッ…ドプ…トプ…

「っ、あ、あああっ…!う、くっ…こんな、に…注がれたらッ…」

びゅーっ…びゅる、るる…
ドプドプッ…
…びゅるる、びゅるッ…ぱたた…

竿の総てを郭淮のナカに埋め込み、張コウは精を吐き出す。
勢いも量も激しく、肉壁を白に染めて所有の証を刻み。
郭淮もまた、張コウの射精に呼応して精を鈴口から溢れさせ。
内外を白に染まりながら、うっすらと涙を浮かべた双眸で天井を仰ぎ、注がれた精の余韻に浸った。

…にゅるるっ…ぬぽ、んッ…
ぶぴゅっ…ゴプ、びゅぶ…

頃合いを見て張コウが自身を引き抜くと、弛緩した後孔からは温い白濁が小出しに噴き出される。
その光景を目にしているだけで、今一度ナカへ突き入れたい衝動に駆られそうになるが、流石に。

「大丈夫か…伯済。」
「はい……えっ?…ふふっ…」

強過ぎる快楽の余韻で虚ろげだった瞳に、生気が戻り。
くすぐったい様な嬉しさを含んだ微笑みを郭淮は浮かべ。
今は、この顔が見れただけで。

……ぼそ、ぼそっ……

「?…何だ、聞こえん。」

満足そうに張コウが郭淮を見詰めていると、何かを言いたげな。
いや、確かに何かを語ろうとしている筈なのだが聞き取れず。
ごく当たり前の事として、郭淮の口元に耳を近付ける―――と。

…ぺろっ…れろ…

「〜〜〜っ!!」
「ほら、張コウ殿だって…弱いじゃありませんか。耳。」
「…こいつめ。」

嬉しそうに微笑んでいた笑みには、悪戯が成功した笑みも含まれ。
それはどうにも抗う事の出来ない…猫が持つ魅惑と蠱惑の笑み。
にゃあん、と、ひと鳴き。
今宵の猫の誘いは、どうやらまだ終わっていないらしい。

■終劇■

◆旧暦225年1月30日は郭淮が病没した命日にあたります。
今の暦だと2月23日ですね。
三大に、ちょこ淮に帰ってきたので今年から再び、この日に何かしらの小噺や会話文の更新が出来たらなあと思っております。
それで肝心の最初がエロってどうなんだという話ですが(苦笑)
ストックしていたネタがエロしか残ってその…いい加減、★印の話も更新したかったし(;´ω`)
命日だからと切ないしんみりより、やっぱり何だかんだでイチャコラしてるちょこ淮が書きたい。
これで神速迅速の★印も無事スタートを切ったという事で。
こちらの方面の小噺も、じわじわ増やしていきますぞ(*´∀`)

2018/01/30 了



あきゅろす。
無料HPエムペ!