『たべる』
もぐもぐ。

「ちょーこーどののごはんは、おいしいですにゃあ。」
「そうか。」

ふわふわのスクランブルエッグを、カリカリのベーコンと一緒に。
尻尾を、嬉しそうにゆらゆらさせながらの朝ごはん。

「…ちょーこーどの。」
「何だ。」
「おれにも、こーひーをください ですにゃ。」

ふたつのカップに。
ひとつは、深く煎られた熱いブラックの珈琲。
ひとつは、乳白色人肌温度の優しいミルク。

「…飲めるのか?」
「しつれいですにゃあ、こーひーくらい のめますよ。」
「…砂糖とミルクは。」
「いりません ですにゃ。」

そう言って淮にゃんは憤慨した顔をするが。
…何となく、結果は予見される。

「……そら。」

こぽこぽと、別のカップに半分だけ。

「…にゃあ…」

黒い液体にふうふう息を吹き掛けると。
こくんと喉を鳴らして、一口含む。

が。

「………がっ…」
「…"がっ"?」

「熱い」とでも言うのならまだ分かるが。
どうも、カップを握って固まったままの顔を見るに。

「(…苦かったのだろうな)」

若干、ぷるぷると震えている。

「…大丈夫か?」
「…だっ…だいじょう、ぶ、です…にゃ、あ…」

変なところで意地を出してはいるが。
尻尾は正直なもので…ぶわんと膨れて逆立ち、限界を示している。

こぽこぽこぽ。

「にゃ、にゃう…ちょーこーどの、なにを…」
「猫舌ばかりは、仕方があるまい?」

半分の熱々珈琲に、半分の人肌温度ミルク。
カフェオレへと変容した液体は琥珀色で、いい温度。

ちょっと砂糖も、入っている。

「……そ、そうですにゃあ。しんたいてきとくちょうばかりは しょうがないですからね。」
「…ふふ…そうだ、な。」

こくこくと、飲み干して。
ことりとテーブルの上にカップを置いて。

「ごちそうさまですにゃ、ちょーこーどの。」



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