A
「…ちょうこ、うどの、も…っ…」

熱く浮かされながら、郭淮は慣れた手つきで張コウの着物を丁寧に解き始める。
その間にも口唇での愛撫は続き、時折自身へと擦れ触れる着物の心地にふるりと身悶えて。
早く、その肌に抱かれたいと。

「…あ…」

帯を解き、組紐を解き、露になった胸元へ抱かれる。
上気を持つ逞しいその身体は、興奮を覚えてくれているのか。

しかし。

「……やはり、過ぎた様だな。」
「……ですねえ。」

求める意志に反して、張コウの自身はというと主張しておらず。
組み伏せられている郭淮にも、何とはなしにそれは窺える。

「…すまんな。」
「いや、まあ、あれだけ呑めば当然だと思いますからねえ。」

少々、バツの悪くした表情を浮かべた張コウのそれを。
見上げる郭淮は…悪いだろうが、「可愛い」と思った。

「…気にしなくていいですよ…ちょっと、起きてもいいですか?」

身体を起こそうとする郭淮に、張コウは妨げにならぬ様、同じく起こす。
そうして改めて見える偉躯は、熱を覚える程に美しさを思わせ。
しゅす、と。
着物の擦れる音を立てながら、郭淮はその身体へと近付く。

「……ッ…郭淮……」
「んっ…」

つう、っと唾液による銀糸を引き落とし、躊躇う事無く張コウの自身へ口付けると。
先端を中心としてちゅくちゅくと舌を這わせ、奉仕する。
繰り返される度に、ゆるゆるとではあるが熱を持ち硬度を増す自身に。
その口淫もまた、悦びを覚えて激しさを。

ちゅ…く…れるっ、る…

「…好い、ですか?張コウ殿…」

愛おしいものへとする様に張コウの自身へ愛撫を重ねる郭淮が、不意に見上げた双眸の―――何と、妖艶。

「…ああ、続けてくれ…」
「…ふ、ンっ…!…ん、ぅっ…」

強いる手管を用いるつもりは無い。
だが、惑う。

自分の返答に安堵を覚えたのか。
笑みを浮かべて再びに自身へと口唇を寄せた郭淮に、張コウは郭淮の後頭部へ掌を添えて自身を深く咥え込ませる。
切なげに漏れた声に正気を戻すが、的確に這わせられる舌に。


また。


じゅぷ…っ…じゅ…

鈴口より零れ落ち始めた先走りを咥内に絡め合わせ、粘質を孕んだ水音を響かせながら繰り返される口淫の抜き挿し。
可能な限りに深く咥え込み、吸い上げるそれに加え、扱かれる手淫。
的確に悦き場所をつかれ、自身が芯から熱く痺れる感覚に。

艶を含んだ声を、張コウは幽かに漏らす。

「……く…郭…淮……」
「…そろそろ、宜しいですかね?」

その声に、ちゅぷ、と軽く先端を吸い上げて張コウの自身を離し。
勃ち上がった自身へ、惜しむ様な口付けを郭淮は落とす。

「…では、次は俺の番だな…」
「…ええ、お情けを下さい…ね。」

後頭部に添えられていた張コウの掌が、郭淮の黒髪を優しく撫で。
それに何とも言い様の無いくすぐったさを覚え、思わず張コウの身体を抱き締めて胸元に抱かれれば。
自分と同じ速さの鼓動を聴く。

掌は、肩だけを支えとした状態になっている郭淮の着物をするりと払い。
ふたりの下肢へと寄せる様に散り落ちて。



紅き装束が見せる、その様は。
やはり。
幾重にも重なる、紅き千切れ華の園を想わせた。



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