『あまえる』
もそもそ…

……ごそごそ……

ぷは。

「にゃ…ちょーこーどの、あさですにゃあ。」

朝を告げる何時もの日課の為に、淮にゃんは布団の中へと潜り込んで。
張コウの身体の上に乗りながら顔を出す。
てしてしと胸元を軽く叩けば、双眸はゆっくりと開かれて。

「……ああ、お早う郭淮。」
「…にゃあ…」

カーテンの隙から漏れる朝の陽光を纏いながら、張コウは起床を告げる淮にゃんの頭を撫でる。
まだ起きたばかりで、寝惚けた思考に囚われているのか。
その表情には、普段の少し厳しい印象を離れた…和らぐ様な笑みが浮かんでいて。


何時の張コウも、淮にゃんは好きだ。
けれど、一番はこの時かもしれない。



この表情を知っているのは、自分だけ。



「ふにゃ…」

惚けているそれを幸いと、淮にゃんは張コウにすりすりと甘え寄る。
そうすれば、また、優しく応えてくれるから。

「さて……そろそろ起きるぞ、郭淮。」
「にゃ…う……」
「…郭淮…?」
「……にゃ……ちょー…こー…ど、の……」

擦り寄る行為を止めたかと思うと、淮にゃんはきゅうとしがみ付く。
もっと、と。
強請る様にも見えて。

しかし、よくよく耳を傾ければ―――

「…むにゃ……くぅ……」
「…やれやれ…猫は眠りを好むというが、全くもってその通りなのだな…」

甘える心地良さを覚えた、そのまま。
猫は再び眠りの中。

器用に自分の身体の上で、くうくうと眠り始めた猫に。
起こさぬ程度、張コウが軽く抱き締めれば。


"にゃあ"とひとつ幸せに鳴いて、夢心地。



あきゅろす。
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