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きっとおんなじ



今日も、先輩はいなかった。どうしたんだろう。そんなにひどい風邪なのかな。大丈夫かな。
いつの間にもう4限目終わりのチャイムがなったらしい。ガヤガヤしてる。あ、いつも購買にダッシュしてる少年だ。今日も相変わらず早い、早い。

「こっちの世界に戻ってこーい、コラ」

こてん、と友達に教科書の角で叩かれた。軽くだろうけど、やっぱ角だし痛い。

「また一人でぼーっとしてる」

「今日も購買の少年は一番乗りだったよ」

「アンタ、走る少年好きね。この前も似たような話してなかった?」

「あぁ、朝のオレンジバックの少年」

別に少年が好きな訳じゃないんだけどな。年下は嫌いじゃないけど。でも、どちらかいうと先輩のほうが好きだし。
‥沖田先輩、大丈夫かなぁ。熱あるのかなぁ。あんまり風邪長引かないといいなぁ。じゃないと、なんだかやっぱり淋しい。それに、登校中に先輩と話しないと学校に来た気がしないんだよなぁ。

「‥、ねぇ、聞いてた?」

「あ、ゴメン」

「まぁいいよ。いつもの事だし。‥んでさ、ぶっちゃけどっちがタイプな訳よ?」

「‥ん?」

「年下か年上。前にタメは苦手って言ってたじゃん」

「あぁ、そーなのよ。タメだと休み時間とかめんどい。どちらかいうと年上かな。めんどくない」

「相変わらずドライね」

「あんま興味がないだけよ」

「でも、そう言いながら沖田先輩と一緒に登校してんじゃん」

「なんで知ってんの!!」

「え、結構有名よ?アンタが沖田先輩の彼女だって」

「ふぇ!!?」

わ、私が沖田先輩の彼女!?いや、ないない。つい昨日まで名前も知らなかったのに。しかもまだ下の名前は知らないし。

「‥その様子じゃ本当に違うみたいね」

「だって、朝一緒に学校来るだけだし、私、先輩の事なんにも知らないし‥ん、てかなんで沖田先輩の事知ってんの?」

「だって有名じゃない。3Zの沖田総悟先輩って」

「総悟、っていうんだ」

「知らなかったの!?」

「だって聞く機会なかったし‥」

「‥ねぇ、後ろ見てみ」

「ん?」

特になにも考えずに後ろを見た。みんなのお昼風景。やっぱりいつものメンバーで食べてる。あの辺はサッカー部かな。いっつもつるんでるんだよね。

「そっちじゃなくて、こっち」

ぐい、と首を向けられた。痛いって、変な方向に曲がるって‥ん?あの後ろのドアから顔をキョロキョロのぞかせているのは、

「先輩‥?」

「いってらっしゃい」

思わず立ち上がってしまった私に、彼女は一言いって他のお弁当グループの輪の中に入っていった。一人残されてしまったため、私は後方の扉に行かざるを得なかった。

「先輩、誰呼んできますか?」

「いや、アンタに会いに来たんでィ」

「‥あの、とりあえず場所変えません?」

私達は屋上に移動した。ただでさえあんな噂がたっているのに、昼休みにあんな所で話していては更に拍車がかかってしまう。

「昨日と今日、行けなかっただろィ?」

「いや、いいですよ。もう風邪は大丈夫なんですか?」

「あー、風邪じゃねぇんでさァ、昨日はちょっくら疲れたからサボってて今日は朝練」

「部活ですか?」

「あァ、大会近いしねィ。だから、これからは朝早くなるから、一緒に行けないって伝えようと思って」

「そうなんですか。わざわざありがとうございます。大会、頑張って下さいね」

「あぁ。‥でも、」

静かな屋上を風がふきぬける。先輩は、今まで合っていた目を少しそらして言った。

「朝アンタに会わねぇと、学校に来た気がしないんでィ」

なんだかすごく、きゅんときた。






「じゃあ私、先輩に合わせます!」

「でも朝早いし、ただの俺のわがままでィ。別にいいですぜ」

「大丈夫です。私がそうしたいだけなので」







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