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白い大きな花の名前U


(優しく笑って)
「何言ってんだよ。いいに決まってるだろ。きっとあの花も、お前と同じ名前で喜んでるんじゃないか?」



「……まあ、僕も貴方に似合ってると思いますよ」


Z-224
「…ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん。
これから僕…ユリって名前で生きていけたらいいな!」



「おう!純真無垢な大人になれよ!!」


ユリ
「うん、任せて!」



「…とりあえずそろそろ戻りましょう。だんだん暗くなって来ましたし」


ユリ
「え…もう帰っちゃうの?」



「大丈夫だ、また来てやるよ」


ユリ
「うん……約束だからね!!!」



「おう!」



「…薫、行きますよ」


(Z地区の出口へ向かう二人)
(それを見送るユリ)

(出口を抜けて、しばらくしてから)



「なあ、涼」



「はい」



「ユリをどうしてスラム街から連れ出してやらないんだ?」



(ため息をつき)
「…貴女は、馬鹿ですか?」


「なっ!馬鹿とはなんだ馬鹿とは!」



「本当のことを言ったまでです。良いですか?もしスラム街の人間をこちらに連れて来た場合…住む場所はありますか?」



「そ…それは…。で、でも、騎士団本部で保護とか出来ないのか?」



「連れて来た人間が団員になるなら考えます。…ですが、団員になるのでも何でもない人間を養うほど、ウチの組織も甘くありませんから」



「そう…なのか」



「まあ彼にとってもあちらに居た方が幸せでしょうね。住む場所も有りますし、見知った人間もたくさん居ますし」



「…そうだな」



「そういうことです。あまり他人に世話を焼くのも考えものですよ」



「仕方ないだろ。…性分(しょうぶん)なんだから」



「そうやって、いつか大きな鬼を引きずり出さないようにするんですね。他人の心の奥底なんて、見ない方がいいに決まってます」
(涼の本音が垣間見える)



「…?おい涼、私には難しくて何言ってんだかさっぱりだぞ…」



「……。この話は終わりです。さっさと帰りますよ」




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