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おまけ
ケイM
「あの頃。僕の周りはいつも騒がしくて、毎日何か事件があって…。今となってはとても大切な【思い出】だけれど、当時の僕は静かに暮らしたくて、迷惑だなんて思っていたりもした。…そうだ、あれは確か、秋の…とても空が高かった、あの日のことだった…」



(突然扉を開ける音がして)



ユウキ
「リナさあああああああああぁん!!!大変ですううううううううううぅ!!!」

リナ
「あら…珍しいお客さんね。もう少し静かに入って来てくれると嬉しいんだけど」

ユウキ
「そ、そそ、そんなことを言っている場合じゃなくてですね!!!あの、あの、ねねね、ねこっ……!」

リナ
「ねこ?」

ユウキ
「ねこになっちゃったんです、皆さん!!!!」



(舟のメインルームに行くと、青、緑、茶、紫のねこがにゃーにゃーないていた)



リナ
「ふふっ……カラフルね」

ユウキ
「第一声がそれですかあああ!?た、多分ですけど…あの、あの……このねこさん達はメインルームの4人ですよね?」

リナ
「恐らくそうでしょう」

ユウキ
(恐る恐る)
「じゃ、じゃあ……け、ケイさーん?」

青ねこ
(すちゃっと手を挙げ)
「にゃっ!」

ユウキ
「はああああ可愛い…っ!じゃあじゃあ、妖怪さーん!」

緑ねこ
「にゃーん♪」

リナ
「ならそっちの二匹はソラくんとリョウくんね」

茶ねこ・紫ねこ
「「にゃっ!」」

ユウキ
「皆さん、何でこんな可愛らしくなっちゃったんですか!?私、飼ってもいいですか!?」

リナ
「元に戻そうとは思わないのね」

青ねこ
「にゃっ、にゃ、にゃ!!にゃー!!(助けてくれ、ユウキ!!)」

ユウキ
「ん、ん??どうしたんでしゅー?ちゃんとお家は作ったげますよぅー」

青ねこ
「にゃっ!(違うわっ!)」

茶ねこ
「な〜…にゃんにゃ、にゃー?(つか、どうしてこうなったんだ?)」

リナ
「んー……『どうしてこうなったんだ』、かしら?」

紫ねこ
「にゃー。にゃ、にゃ(あれ、通じてるね)」

ユウキ
「確かに、どうしていきなりこんな風になっちゃったんでしょう?」

緑ねこ
「にゃ〜、にゃにゃん、にゃおーにゃいにゃー(あー、それ多分、オレが昨日みんなにあげた酒のせい)」

青ねこ
「にゃ!?(は!?)」

リナ
「何酒?」

青ねこ
「にゃしゃー(猫酒(マオしゅ))」

茶ねこ
「にゃ……っしゃーっ!!(な…っお前ええええ…!!)」

ユウキ
「あ、ケンカはダメですよう」

緑ねこ
「にゃーっ、にゃー、な〜っ?にゃんー(だってー、秘酒とか言われたら試したくなっちゃうじゃんー?ね、ケイちゃーん)」

青ねこ
「にゃっ!!(死にさらせ!!)」



(青ねこが緑ねこの顔面をバリっと引っ掻き)



紫ねこ
「にゃ、にゃ。にゃん、にゃー。にゃいにゃい(とにかく、どうにかして元に戻らないと。仕事もあるし)」

リナ
「そうねぇ…。ユウキちゃんには悪いけど…この人達がねこのままだと、この舟が墜ちるものね」

ユウキ
「残念です…ね、ハムスター・ド・三世さん…」

ハムスター
「ぷきゅっ」

茶ねこ
「にゃーっ?(何かアテがあるのか!?)」

リナ
「無いわよ。…だから、これから調べるわ」

青ねこ
「にゃ…にゃ(悪いな…)」

緑ねこ
「にゃんにゃー、にゃにゃにゃ(ごめんねー、オレのせいでー)」

青ねこ
「にゃっ!!(本当にな!!)」



(青ねこが緑ねこの顔をバリっと引っ掻き)



ユウキ
「はーい!なら私、書庫に行って来ますーっ」

リナ
「よろしくね、私は長老達の所へ行ってくるわ」



(リナ、茶ねこ、紫ねこ)



リナ
「昨日夜寝る時は何とも無かったのね?」

紫ねこ
「にゃ。にゃーにゃっ(そうだね。朝起きたらこうなってたんだ)」

リナ
「…興味、あるわぁあああ」

茶ねこ
「にゃ!!!にゃっ、にゃんにゃっにゃにゃにゃ!?(バカお前!!!前にオミを治療してるとこ見ただろ、ああなるぞ!?)」

リナ
「失礼ねぇ!!聞こえてるのよ!」

紫ねこ
「にゃ……にゃ…?(あ、あれ、ちょっと待って…?)」

茶ねこ
「にゃ?(ん?)」

紫ねこ
「にゃ……にゃ。にゃにゃにゃ…?(そもそもどうやって…リナはおれ達と会話をしてるんだ…?)」

茶ねこ
「にゃっ、にゃんにゃ、にゃ、……にゃ?(そりゃ、どうやってって……あれ?)」

リナ
「うふふふふふふふ……」

茶ねこ
「にゃ……にゃん!?(ちょ、あの、リナさん!?)」

リナ
「女は秘密の一つや二つ持ってるものよ」

紫ねこ
「にゃん…にゃにゃっ(笑い方が怖すぎる…)」

リナ
「……ふふっ…、リョウくん?今度、私の部屋へいらっしゃいな……」

紫ねこ
「にゃっ!!(遠慮する!)」

リナ
(ため息を一つつき、寂しそうな顔をしながら)
「……本当に、聞き取れるのは大した理由じゃないのよ。…ただ……」

茶ねこ・紫ねこ
「「?」」



(ユウキ・青ねこ・緑ねこ)



ユウキ
「この辺ですかねー?」

緑ねこ
「にゃにゃにゃー(いやぁ、猫酒美味しかったのにねえ)」

青ねこ
「にゃにゃ!!(いい迷惑だ!!)」

ユウキ
「…ふふ。ねこさんとは言え、ケイさんと妖怪さんなんですよね。…二人がそうやってじゃれ合ってるのを見ると、戻ってきたって感じがします」

青ねこ
「にゃん…?(戻る…?)」

ユウキ
(独り言のように)
「お友達の数も、やっと元に戻りました。やっと……元に…」

ハムスター
「きゅっ!」

ユウキ
(ハッとして)
「あ……お喋りが過ぎちゃいましたね。どうやったらお二人を元に戻せるか、です!」



(しばらく無言でゴソゴソ探すユウキ)



ユウキ
「あ!!これっぽい!!これっぽいです!!動物酒ってタイトルです!!」

緑ねこ
「にゃっ!にゃんにゃん!!(おっ、でかしたユウキちゃん!)」

青ねこ
「にゃー…(お前はどうして偉そうなんだ…)」

ユウキ
「んーっ…!!あとちょっとで届きそうなんですけどぉ…って、うわあああああああぁ!?」

緑ねこ
「にゃっ!?(ちょっ!?)」



(ドンガラガッシャンと本や何かが崩れる音)



オミ
「あっぶなあ〜…大丈夫?」

ユウキ
(オミに抱きとめられながら)
「びっくりしたぁ……妖怪さん、ありがとうございますっ!!…あれ?」

オミ
「ん?…あれ?」

青ねこ
「にゃにゃっ!?(お前!?)」

オミ
「わーい戻れたー!」

ユウキ
「すごいです妖怪さんっ!!!一体どうやって?」

オミ
「すっごくベタな展開だけど、いい?多分誰かにちゅーして貰えば元に戻れるよ、ケイちゃん!」

青ねこ
「………にゃ?」

ユウキ
「………は?」

オミ
「だって今オレユウキちゃんにちゅーしてもらったもん!」



(しばらくの間)



青ねこ
「にやー…にゃにゃ(お前…!)」

ユウキ
「妖怪さんすごいですっ!!!ケイさん!ちゅーしましょう!!」

青ねこ
「にゃんっ!?にゃにゃ!?!?にゃにゃ、にゃいにゃいにゃお、にゃ…!?(アホなのか!?バカなのか!?!?ていうかお前もうちょっと恥じらいとかそういうのっておいオミ何す……っ!?)」

オミ
「誰でもいいんだったらほら、オレとちゅー、なんて選択肢も有りだけど?」

ユウキ
「えー、ダメですよう。ケイさんは私とちゅーするんです!」

青ねこ
「にゃにゃにゃ、にゃにゃにゃ(とりあえず落ち着け、いいから落ち着け)」

オミ
「あ、ならさ、同時ちゅーとかどうよ?」

ユウキ
「いい考え!それで手を打ちましょう!ケイさんを半分こです!」

青ねこ
「にゃ!!にゃんにゃー、なしゃー、にゃにゃにゃ…っにゃ!?(僕は半分にはならない!!おい、少しは本人の話を聞け、頼む僕を無視して話を進めないで…って、ちょ!!)」

オミ
「喚かないのー、ケイちゃん。はい、ちゅー♪」

ユウキ
「そうですそうです!雰囲気がぶち壊しです!!ちゅー!」



(その瞬間、ぼふっと煙が出て)



ケイ
「ぶは!……お前達…」

オミ
「お、おっかえりー、ケイちゃーーん!!ねこになった気分はどうでしたか?」

ケイ
「最っ悪……」

ユウキ
「えー…可愛かったのに……」


(そこへリナ、ソラ、リョウも合流し)



リナ
「元に戻る方法聞いてきたわよーって、…あら?」

ソラ
「お、お前らも…戻れたみてーだな…」

オミ
「ソラくん顔真っ赤っかー!」

ソラ
「うるせえええええぇ!!」

リョウ
「まー…何はともあれ良かったね?」

ケイ
「全然良くない……僕の平穏な休日を返してくれ…」

ユウキ
「楽しいじゃないですかっ!!ケイさん若年寄りーー」

ケイ
「うるさい!」

リナ
「ケイくんは誰にキスしてもらったのー?」

オミ
「はーい、オレ!」

リナ
「っ……!!なん、ですって……!?どうして…私のいる時にやってくれなかったの…」

リョウ
「出た、リナの病気」

ユウキ
「リナさん好きですもんねー、そーいうのー」

オミ
「だってさー。じゃあ期待に応えてもっかい飲む?猫酒」

ケイ
「バカか!!アホか!!二度と飲むか!!」

オミ
「つれなーい…」



(その後もぎゃあぎゃあ騒がしくしているオミとソラ。ケイは散らかった書庫を片付けようと本を手にとった)



ケイ
「全く片付けもせずうるさいな………ん?【創世紀】?」



(何気なく本を見ようとするケイ。するとユウキが本を閉じてしまう)



ケイ
「…?」

ユウキ
「ダメですよう。それは秘密の本なのです」

ケイ
「秘密…?」

ユウキ
「秘密です。ケイさんには教えてあげられない系です」

ケイ
「………っ」

ユウキ
(途中で台詞が遮られ)
「だから、それ、回収してもい…」

ケイ
「お前はいつもそうだな。…人の心は平気でこじ開けるくせに、自分の本心は見せない」

ユウキ
「あー。よく言われますー」

ケイ
「いつか見てろよ、僕がお前の本心を絶対に引きずり出してやるからな」

ユウキ
「ケイさん、怖いですよう。……でもまあ、楽しみにしてますね」

ケイ
「っ……」

オミ
「あんれー?なーに二人で話してんのー?オレも混ぜてー?」

ユウキ
「はい!妖怪さん、ケイさんをパスします!」

ケイ
「あ、ちょっと待て、ユウキ!!」

ユウキ
「嫌ですっ!!あ、リナさーんっ!今ならご所望の場面があそこで繰り広げられていますよ!」

リナ
「何ですって!?…うふふふ、ケイくんオミくん可愛いわぁ…」

ケイ
「バカ!…やめろ、こっち来んな!!」



(騒ぎながら肩を組んでいたオミ)



オミ
「大丈夫だよ、ケイちゃん。時間は確実に流れているから」

ケイ
「どういう意味だ?」

オミ
「さっきの本。中身はまだ教えられないけど、時が来たら、さ」

ケイ
「お前…!どうやって!?」

オミ
(ケイにではなく誰かに向かって)
「情報処理、オレの本職。甘く見んなってことだよ」

ケイ
「……ああ、頼む。今は僕にできる事をやるだけだ」

ユウキM
「この日、休日を返上して事件解決に挑んだことも」

ケイM
「この先、屋上で語らうであろう時間も」

ユウキM
「全て、忘れられてしまうけど」

ケイM
「全て、忘れられないほど」

ケイ・ユウキM
「色鮮やかな時であることは、絶対に変わらない」


fin.


おまけのおまけ。

ソラ
「で、結局リナが猫と会話できるのは何でなんだ?」

リナ
「ああ、それ。私昔から動物に好かれにくくて…勉強してるの。愛読書はねこの気持ち、よ」

リョウ
「あ…それであんな切なそうな顔してたんだ」

ソラ
「動物だって本能で感じてんだろ、こいつヤバイって」

リナ
「うっふふふふふふふ…ソーラくん?」

ソラ
「どーもすみませんでしたあああああああああぁ!!!」


おわり。



あきゅろす。
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