番外編 困ります 鈴はあれからすぐに教室に戻ると、当然のことながら女子たちの質問の嵐にあった。 内容は本当に付き合っているのだとか、クラスはどこか、などなど。 『フリ』とはいえど、付き合っているというのは少し嬉しいと思っている。 そんな状況のなか、悔しそうにしていたのはもちろん―――。 佳奈と静だった。 「彼氏、いるじゃん」 「従兄弟とかじゃないよね?」 静は疑わしい視線を鈴に向けながら、訊いた。 「もちろん」 その質問に、鈴はきっぱりと答える。顔には笑顔を浮かべて。 「あーあ、1ヶ月は奢りか」 「佳奈、交代でお金出し合おう?」 「奢らなくていいよ」 「「え? いいの?」」 鈴の発言に2人は嬉しそうに反応する。 「うん。別にそのためにわざわざ付き合ったわけじゃないし」 まさかグレオが彼氏のフリをする、と言い出すとは驚いたが。 契約中はこの設定のままでいこうと思う。 「ねぇね、色々と詳しいこと教えてよ」 「あ、聞きたい!」 「詳しいこと...って、ほとんど知らないよ?」 出会ったのは昨日。グレオのことなど、何も知らない。 「いいの。経緯とかだけで」 「じゃあ、放課後に教えてね」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |