神無月鎮魂祭U
4
刹希がどうなったかなんて、苑希にはどうでもよかった。
長い年月、苑希は死神として生きた。
ある日、彼は他の死神が人間の魂を奪うところに居合わせた。
この頃から、苑希の中に異変があったことに、彼自身も気づかない。
その日を境に徐々に苑希が魂を奪う数が減っていった。
そしていつの日か、全く魂を奪うことはなくなっていた。
何故か胸が傷む。
こんな感情は今までなかった。
いや、とうの昔に失ったもの。
狙う人間を何日か眺めている。
例え悪いことをした人であっても心はある。
愛する者がいる。
それを見ていると、この手でその命を終わらせることなんてできないと、そう思った。
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