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ラバーズ

あれから十年。


「やっぱりここにいたかエスト」

エストはアスカに会いに来るのが日課のように、毎日ここに来ていた。

「ラインさんが呼んでいたぞ」

「わかった。メイス、ちゃんとアスカを見ててね」

そう言うとエストは急いで部屋を出て行った。

「はいはい、大丈夫ちゃんと見てるよ…。って、それが仕事なんだけどな」

メイスはくすっと笑ってエストを見送った。

隣の研究室では他の研究員が苦笑いしている。

十年経った今もアスカは相変わらず少女の姿のままそこにいた。






町から人里離れたここには研究所以外の施設がなく、エストはラインやメイス、その他の研究員たちに勉強を教わっていた。


エストの夢はこの研究所の研究員になることだった。

「ラインさん呼んだ?」

「ああ、エスト来たか。この前のテストの結果だが…よくやったな。満点だ」

「ほんと!?やった!メイスに報告してくるね」

それだけ言うと、エストはメイスの元へ走った。

その後ろ姿をラインは複雑そうに見ていた。

ラインもエストの夢を知っている。

いつかきっとアスカに人としての感情を取り戻してあげたい、というのがエストの二番目の夢だった。

エストが長く生きることのできない体質だということも…。

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