ラバーズ
3
そう思いながら、エストのいる部屋に来ていた。
「メイス?」
不思議そうな顔でエストが見上げてくる。
「え?いや、なんでもないよ。エスト、来てごらん」
メイスはエストを連れて、アスカのいる研究室に戻った。
アスカのいる部屋は、一つの部屋を二つに仕切られていて、一つは普通の部屋になっていて、隣が研究室になっている。
壁には大きな窓ガラスが張られている。
「あのお姉ちゃんどうしたの?」
エストは窓に張り付いて、アスカを見た。
「あの子はね、アスカっていうんだ。エストは嬉しいとか悲しいこととかあるだろ?でもね、あの子にはそれがわからないんだ」
「お姉ちゃんの側に行ってもいい?」
ラインの許可を得て、メイスはエストを連れて部屋に入った。
エストはアスカの近くまで歩いていく。
「僕はエストっていうんだよ。僕、ここの人たちが大好きだよ。アスカも大好きになるよ」
言葉が通じないとわかっていても、必死に話しかけるエスト。
それから毎日エストはアスカに会いに来るようになった。
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