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ラバーズ

「エスト、どこへ行きたい?今日はどこでも好きな所へ行こう」

「本当!?でも、どこでもいいよ。メイス久し振りの休みだから、ゆっくりしたいでしょ?」

エストはわがままをあまり言わない子だった。

ずっとメイスの迷惑にならないように「いい子」でいる。

あまり弱音も吐かない。

「エストこそ久し振りの町なんだからもっと楽しまないと。何がしたい?」

今度はいつ来れるかわからないんだ。

エストは買い物がしたいと言った。

研究所では子供がいないため、エストは与えられた玩具や本を読んだりして過ごしていた。

時々こうして町へ出かけたときも、新しい本などを買ったりする。

「ねえメイス。あれが欲しい」

エストが指し示したものは綺麗なレースのリボンだった。

「アスカにあげたいんだ。きっと似合うと思うよ。ね、いいでしょ?」

アスカの時間は十数年前十七歳のまま止まっている。

研究のため彼女は白いワンピースを着せられている。

「そうだね。アスカも喜ぶよ」

メイスはエストの横で苦笑した。

エストにとってアスカはどんな存在なのだろうか。

「エスト…」

「何、メイス?」

「いや、なんでもないよ」

言いかけてメイスはやめた。

せっかくの気分転換に来ているのに、今言ってはならない。

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