呪解。
5
「それで、今日はどうするんだ、リュウ?」
「ああ、それなんだが、アディナに野盗が出るらしい。今日はそいつらの討伐だ。しかもそいつらの中に魔導を使うやつもいるらしいからな…。結構な賞金が賭けられている」
リュウについて行きながら、仲間たちは森の中に入っていった。
カイトを町に置いていくつもりだったのだが、彼はクラウドから離れようとはしなかった。
「いつもはこの辺りに出るらしいんだが…と、出て来やがったな」
用心して森の中を歩いていたリュウたちの前に、やつらは現れた。
「おまえら冒険者か?おとなしく金目の物を置いて行きな。そうしたら痛い目遭わずに逃がしてやるぜ」
頭らしい大柄の男が剣をちらつかせながらやってきた。
「おまえらか、最近ここら辺で人を襲っているって言う野盗共は?悪いが、おとなしく逃がしてやる気はないんだ」
「なんだと?おい、おまえら、こいつらをやっちまいな!」
男の声で、周りに隠れていた数人の男たちが一斉に襲いかかって来た。
リュウや仲間たちも剣を抜き、応戦する。
「カイト、危ないからおまえはそこに隠れていろ。いいな、出てくるんじゃないぞ!」
クラウドはカイトを木の陰に隠し、応戦する。
剣と剣のぶつかる金属音。
その時、閃光がクラウドを襲った。
魔導士が攻撃を仕掛けてきたのだ。
気づいた時にはもう遅かった。
クラウドはその場に倒れていた。
カイトが泣きながらクラウドに駆け寄る。
「カイト!そいつを連れて早く逃げるんだ!」
リュウたち仲間に逃げるよう言われたが、カイトはクラウドの体を抱き、声にならない声で泣き叫んだ。
「…っうぅ…あっ…!」
「カイト!早く!」
「あぁっ…う、ぅう…ああああぁぁぁぁっ!!!」
カイトの悲痛な叫びは戦いを止めた。
なんて悲しげな叫びだろう。
そのまま、カイトは気を失った。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!