呪解。
12 冬の出来事
長い冬がやってきた。
冬の間は雪に埋もれて道が閉鎖される。
この先このままでは国境を越えることができない。
クラウドは近くの町で冬を越すことになった。
一軒しかない宿屋に泊まることになった彼は、冬の間の仕事を探すべく、商人の家を渡り歩いた。
クラウドは酒場を経営しているとある一軒の家を訪ねた。
店の主人は快く受け入れてくれた。
「早速で悪いが、この酒を配達してきてくれ」
主人に言われ、クラウドは荷物を持って言われたとおり配達に出かけた。
帰り道、彼は一人の女性にはっと目を留めた。
似ている。
あの女(ヒト)に…。
思わずクラウドはその女性を呼び止めてしまった。
ここにいるはずがない。
でも…似ていた。
故郷に置いてきてしまった最愛の女性に。
「あの…」
「え?なにか…」
「あ…いえ、知っている人に似ていたものだからつい…。すみません」
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