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神無月鎮魂祭T
5
「・・・おいっ!?翼刃?!」

目が覚めると、苑希が翼刃の頬を叩き、顔を覗き込んでいた。


またあの夢か・・・。


翼刃の顔は涙でぐしょぐしょになっていた。

「苑・・・希?どうし・・・たんだ?」

「どうしたじゃないよっ。それはこっちの台詞だ。怖い夢でも見たのかい?ずいぶんうなされていたみたいだけど」

不覚にも見られてしまった。

自分では自覚していなかったのだ。

隣の部屋で寝ていたはずの苑希が、翼刃のうなされている声で駆けつけてきたのである。

まだ夢の余韻から覚めていないのか、翼刃はボーっと宙を眺めていた。

「翼刃?大丈夫か?待ってて、今何か温かいものを作ってくるから」

苑希は手で翼刃の涙を拭ってやった。

翼刃はされるがままになっていた。

苑希が部屋を出て行く音でようやく我に返った。


あの時の記憶がなかったわけではないけれど、由羅が死んでしまったショックで忘れていたものが思い出された。


三年前、自分の目の前に現れた男。

あいつは翼刃の魂を狙っていた。

一体何のために?

それは今でもわからない。

あいつは由羅を殺してから今まで再び翼刃の前に姿を現さなかった。




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