神無月鎮魂祭T
4
翼刃は狙われていた。
何者かはわからないが、確かに翼刃の命は狙われていた。
自分が何故、何の為に狙われているのかわからない。
それがだんだん恐怖になり、怯える毎日だった。
誰かが自分を殺しに来る。
いつからそんなふうに思ったのかも覚えていない。
しかし、ある日、そいつは翼刃の目の前に現れた。
『おとなしくお前の魂を私によこせ』
一体何の事だ?
魂?
こいつはただの殺人鬼ではない。
魂・・・命にはかわりない。
男は翼刃に剣を向けてきた。
翼刃はそれを避けるのが精一杯だった。
逃げることは許されない。
逃げても逃げても男はどこまでも追って来たから。
『逃げても無駄だ』
どうすればいいのか?
もうどこにも逃げられない。
男は再び剣を振り上げた。
死ぬ!
―ザンッ―
しかし痛みはなかった。
その代わり、目の前に立ち塞がる少女の姿が目に飛び込んできた。
男の持つ剣の先からは、真っ赤な血が滴り落ちていた。
そして、少女からも・・・。
目の前が真っ白になった。
『あ・・・由・・・羅?』
倒れこんできた由羅を翼刃は抱きとめた。
男はいつの間にか消えていた。
彼女は翼刃を庇ったのだ。
『由羅?!由羅ぁー!!』
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