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神無月鎮魂祭(突発短編)
モテる?
ある日の午後、店に二人の女子高生がやって来た。

二人ともなかなか可愛い子だ。

あ、ちなみに俺彼女いるから誤解のないように。

「いらっしゃいませ」

にこっ

営業スマイルで俺は彼女たちを席まで案内する。

メニュー表を渡し、メニューの説明を簡単にしてから下がった。

彼女たちはここが初めてのようで、そわそわしながら店内を見回している。

と、そこに翼刃が休憩から戻ってきた。

店内にはちらほらお客様がいる。

「すみません」

少しして、先程の女子高生が俺を呼んだ。

俺は注文を伺いに彼女たちのテーブルへ行く。

注文を受け、俺はキッチンへと行く。

キッチンから戻り、俺は翼刃に小声で話しかけた。

「なぁ、あの子達可愛いと思わないか?」

そう言って先程の少女達を示す。

しかし翼刃の反応はいまいちで。

「…そう、だな」

あれ?

「あれ、何、その反応?」

翼刃はつまらなそうに店内の様子を見回す。

つまりあまり興味はない、と。
そこへ、女子高生達が注文したものが出来上がり。

「よし、おまえが行ってこい」

俺は翼刃の背中をポンと押し出した。

翼刃はトレイを持って彼女たちのテーブルへ行った。

「お待たせいたしました」

にこっ。

営業スマイルは忘れない。

その時、彼女たちは顔を赤らめた。

おやおや?

「ごゆっくりどうぞ」

テーブルに皿を置き、翼刃はもう一度微笑んで戻ってきた。

俺は翼刃の肩にガシッと腕を回し。

「なかなかやるな。あの子らおまえに気があるかもよ」

「え?何言ってんの?」

本人全く関心がない様子で首を傾げた。

女子高生たちは注文したケーキとジュースだけで2時間ほど喋っていた。

女の子ってそういうの好きだよな。

お客様もまばらになり、彼女たちも席を立ち上がり、レジにやって来た。

「この店は初めて?」

俺は彼女たちに話しかけてみた。

「は、はい!美味しかったです」

彼女たちは緊張した感じで答えた。

「それは良かった。また来て下さいね」

そう言うと彼女たちの顔は赤くなり。

あれ、俺なんか言ったかな?

「ありがとうございました」

会計を済ませると、翼刃も彼女たちの見送りにやって来た。


翼刃を見た彼女たちは更に顔を赤らめる。

「あの、また来ます!」

「ありがとうございます」

翼刃は営業スマイルで返す。

出口まで二人で彼女たちを見送った。

「…やっぱおまえに気があるんだよ」

「何言ってんですか?」

翼刃は素っ気なく言い、テーブルの上を片付けに行ってしまった。

どこまで鈍感なのか。

翼刃は女性客に意外と人気があるらしい。

しかし、当の本人は全く自覚がない様子。

俺は苦笑いして翼刃を見た。

彼は人付き合いが苦手らしい。

そう思って翼刃を見ていると、彼はトレイを手に戻ってきた。

「お疲れさん」

俺は翼刃の頭を撫で、入って来たお客様を出迎えた。


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