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神無月鎮魂祭(突発短編)
お正月
「「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」」

そう言って、翼刃は顔を上げる。

目の前には由羅と由羅の家族。



つい数時間前まで、大晦日も由羅の家族と過ごした。

朝、改めて新年の挨拶をした。

「由羅、翼刃、こっちへ来なさい」

一言名前を呼ばれて、由羅の父親、隆司の前に由羅と二人で座る。

寡黙な隆司を前にすると、いつも緊張する。

隆司は二人を座らせ、あるものを差し出した。

お年玉である。

「「ありがとう」ございます」

有り難く頂戴する。
隆司は他人である翼刃にも毎年お年玉をくれる。

「さ、翼刃くんこっちへ座って」

由羅の母、環にコタツへと促される。

翼刃は大人しく席に座った。

その隣を由羅が陣取る。

「ねえ、翼刃、あとで初詣に行こうね」

「うん」

「ほら、お雑煮よ。食べましょう」

環がお雑煮やお節料理をテーブルの上に並べていく。

「「いただきます」」

みんなでお腹いっぱい食べた後、翼刃は由羅と初詣に出かけた。

由羅は赤い振袖に着替えてきた。

「どうどう、翼刃?」

「うん、綺麗な着物だね」

翼刃の言葉に由羅は頬を膨らませ

「むー、そっちじゃないー」
「クスっ。ごめん、冗談。可愛いよ」

「ほ、ホントに?」

「ホントだよ。さ、行こう?」

翼刃は手を差し出し、由羅はその手を照れながらとる。

二人で手を繋いで近くの神社まで歩いた。


お賽銭をしてお詣りし、屋台を見て回り、楽しい正月を過ごした。




******************

「夢…か。懐かしいな」

翼刃はベッドから身を起こし、思い出した。

由羅がいた頃は毎年、あのように過ごしていた。

楽しかった思い出。

しばらくボーっとした後、起きて支度をし、夕べ用意しておいた正月料理をテーブルに並べていく。


そうしているうちに苑希も起きてきた。

二人揃ったところで、向き合う。

「「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」」


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あきゅろす。
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