神無月鎮魂祭(突発短編) ウィンタースポーツへの挑戦 目の前は一面白銀の世界。 翼刃たちはスキー場にスノボしに来ていた。 もちろん翼刃も苑希もスノボは初めてだ。 「誰だ…こんなとこ来たいって言ったのは」 翼刃は寒さに震えながら遠い目をしている。 「ごめん…」 苑希は小さく謝った。 「とりあえずリフトで上まで行きましょうか」 インストラクターは二人をリフトに促す。 「行こう、翼刃くん」 苑希は翼刃の手を引いてリフトに乗って上まで上がる。 リフトを下りると下までよく見える。 「それでは教えるので少しずつやってみましょう」 二人はインストラクターに教わりながら立つ練習を始めた。 「そうそう、そうです苑希さん。うまいですね。そのまま ゆっくり下に下りてみてください。」 苑希は予想以上に上達が早く、すぐに一人で滑れるように なっていた。 「さて、翼刃さん…」 「いや…無理だから…」 翼刃は怖じけづいていて、首を横に振る。 「無理じゃないですよ。やってみましょう」 インストラクターに立たせてもらうが、腰が引けてしまう。 「無理ムリむり!」 「翼刃さん…大丈夫ですから、ね?」 インストラクターに手を引かれながら少し滑る。 「はい、そのまま少しずつ滑っていって下さい」 翼刃が立つと、インストラクターは手を離す。 「い゛やぁあぁぁ無理ぃぃいいぃ!」 翼刃は勢いで滑って行き、そのまま転倒してしまった。 「翼刃くん大丈夫かい?」 爽やかな笑みを浮かべた苑希が翼刃を見下ろす。 「大丈夫じゃない…。無理。帰る」 翼刃は子供のように拗ねる。 苑希は苦笑いして翼刃を見て言った。 「翼刃くん…楽しいのに。じゃあ、下で待ってなよ」 そう言われ、翼刃は残りをなんとかインストラクターに付き添わ れて滑り、一人休憩することになった。 その夜、身体中が筋肉痛で動けなくなった二人はホテルで 死んだように眠った。 [*前へ] [戻る] |