神無月鎮魂祭V
9
「くっ…珀希、おまえもやはり…」
「正の感情は我々死神にもあるようだ。元々そういうものがあって、任務の邪魔だからと奥の方で眠っていただけなのかもしれない。それが何かのきっかけで目覚めたんだろう。そして、あの方も…。蘭、もう行け。二度と彼に近付くな。」
珀希の言葉に、蘭希は悔しそうに舌打ちをして消えた。
たとえ、また翼刃の魂を狙って来たとしても、自分がそれを阻止しようと珀希は決めていた。
「珀希…ありがとう」
「おまえは幸せ者だな。こんなにもたくさんの者たちに守られてきた魂だ。簡単には死ぬなよ。私ももう行く。これ以上いると仕事ができなくなって消されることになるからな。」
風が起こり、風が珀希を囲む。
「珀、僕からも礼を言う。ありがとうございます」
紅苑も翼刃の隣に立って言った。
珀希は軽く微笑んで、風と共に姿を消した。
残った二人は顔を見合わせた。
もう前のように怯えて暮らすこともなくなる。
守ってくれる人がいるから。
一人じゃない。
「あの人、大丈夫かな。罰を受けたりするのか?俺のせいで」
「たぶん彼なら大丈夫だ」
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