神無月鎮魂祭V
8
「刹希が消されたって…本当だったんだ。翼刃、君は…」
「俺は…捨てられたんだと思っていた。父さんを恨んだこともあった…けど、それは俺を守るため?」
誰に言うでもなく、翼刃は呟いた。
「紅苑は、俺の父さんを知っていたのか?」
「知ってたよ。人間として最低だった昔の僕を拾っくれた死神だった。少しの間、彼と一緒にいたことはあったけど、いつの間にかいなくなっていたんだ。まさか、人間の女性と一緒にいたなんて…」
「そうか…。俺にはあまり父さんの記憶とかないけど…いい人だったのかな。ホントは…」
「そうかもしれないね」
紅苑は翼刃に優しく笑ってあげた。
彼自身もあまり刹希の記憶はないが、彼がいなければ、最低な人間のまま終わっていたかもしれない。
「だが、これでわかっただろう?さっきも言ったように、おまえの魂は普通の人間のものよりも罪の重さの分だけ価値があるんだ。早く俺にその魂をよこしなっ」
急かすように蘭希が言う。
それを珀希が咎める。
「おまえもいつまでも彼の魂を狙っていないで、別の魂を多く集めたらどうだ?価値のあるものもいいが、数が多ければ多いほどいい。もう諦めるんだな。」
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