神無月鎮魂祭V
4
家に残された紅苑は、懐かしいこの家で翼刃が帰るのを待っていた。
しかし、翼刃ではない気配を悟って気を張る。
風が巻き起こり、紅苑の前には黒い服の男が立っていた。
「え、珀希!?」
「苑…久しぶりだな。」
突然現れたのは珀希だった。
彼には言わなければならないことがたくさんある。
「珀、あなたは何故翼刃を守るのですか?僕がいない間、彼を助けてくれたのはありがたいと思う。けど、そうしたらあなたは…」
死神に正の感情などあるはずがない。
「彼の魂を狙うのは任務というわけではない。生きる資格がないわけではなく、生きる意志がないわけではないから、魂を狙う理由にはならないからな。ただ…」
他に理由があるというのか?
半年前までは翼刃の魂の価値がどういうものであるかだけは知っていた。
苑希が消えた時から疑問に思うことがあって、いろいろ調べたどり着いた答えの結果を紅苑に教えるべきか珀希は考えた。
だが、珀希が言う前に別の声が割って入った。
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