お祝い小説
ちぐはぐ観察日記 4
2月7日(日)
今日はおれがこの島を出る日。
「エース!!!」
海岸で準備を整えたおれの下にやってきたのは、息を切らしたルフィだった。
「もういっちまうのか?」
ルフィの顔は何か吹っ切れたかのように、爽やかだった。
やっぱルフィはそうこなっくちゃな。
白けた雰囲気なんて、おれたちにゃあ似合わねぇ。
おれは笑顔で頷いた。
「あぁ。おれには早く会いたいやつがいるしな」
「そっか!」
そういうとルフィもにっと子供らしい無邪気な笑みで返してくれた。
「けどおれァ心配だ、ルフィ。お前が俺の言うこと聞かねぇで、また無茶しないかってな」
「そんなの心配いらねぇぞ!!おれはもう子供じゃねぇんだからな!!」
ルフィはおれの問いに、胸を張って答えた。
いやまだお前は十分子供だ。
名残惜しい気もするが、そんなことを言ってたら埒があかないので、おれはルフィに対する不安やら何やらを抑えて船を岸から離させた。
「じゃーな!!エース!!」
「おう!!」
そして、おれは海へと出た。
後ろは振り返らない。
そこにはまだルフィがいるって分かってるから。
さっきは敢えて口にはしなかったが、今度ルフィも海賊として海に出てきたら、おれはこう言おうって決めている。
ちぐはぐ観察日記
また会おう、海賊の高みで。
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