お祝い夢小説
くじらのうえでかくれんぼ

朝起きたら、隣にイチカの姿が無かった。

寝たときは確かに左腕に頭をのっけて
気持ち良さそうに寝ていたのに。

寝ぼけ眼を無遠慮にゴシゴシこすってから服を着て、帽子で寝癖を隠してドアを開ける。

外は仕事中の船員やらナースやらがバタバタ走り回っていた。


「あ、エースさんおはようございます!」

話しかけてきたのは、最近俺の隊に入った新入りの男。

「おう、おはよーさん。

イチカ知らねーか?」


俺のその問いに、そいつは一瞬ビクッと肩を揺らしたが
何もなかったかのように「知らない」と答えた。

「それよりエースさん朝食まだですよね!?俺運んでくるんで部屋で待っててください!!」

言いながらグイグイと部屋へ押し込まれる。

「お、おい食堂まで行けば済むだろ」

いつも食堂で食べているのに今日に限って部屋まで運んでくるってのはどういう風の吹き回しだ。

そう言い返しながらも無理やり部屋へ入れられてしまい、外に見張りまで立たされちまったから
俺はとりあえず諦めて椅子へ落ち着いて
朝食を珍しく自室でとることになった。


こいつらなんか変だ。

俺が飯を食い終わっても外にいる見張りらしき部下は居なくならねェし
外が妙にそわそわしてやがる。


「おい、お前らおれに何か隠してるだろ。」

ドアを開けるや否や外のやつらに問いただすと、さっきの奴みたいに一瞬たじろぐが「何も無い」の一点張り。

「ま、いいや俺ちょっと出かけるから。」

そう言って部屋を出ようとしたら見張りの奴に止められたから



「・・・蛍火。」



火の玉をそいつらの周りに漂わせて軽く睨んだら、「いってらっしゃい」と気持ちよく見送ってくれた。

さて、イチカはどこだ?




くじらのうえでかくれんぼ






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