お祝い夢小説
cling


「寒い…、」


今日の見張り番はイチカ。季節は冬で、もちろん寒い。
毛布に包まり、はーっと息を手に吹き掛ける。

ふと空を見上げてみれば、無数の星たちが瞬いていた。


「星でも数えようかしら」


寒くて動く気にもならず、かといって部屋にも戻れない為にそんな馬鹿なことを考えた。

その時、彼女の後ろから声がした。


「やめとけよ。星なんて数えられねーぞ」


バッと後ろを振り向くと、そこには。


「……エース」

「よっ!暇してんじゃねぇかって思って来てやったぜ?」

「それは嬉しいけど…相変わらずな恰好ね」


寒いというのに、エースの恰好はいつもと変わらない。本人が寒くなくとも、見ているこっちが寒くなる。


「……入る?」


"寒くないの?"と過去何回か聞いて"寒くない"と言われているので、単刀直入に聞いてみた。
毛布の中に入る?、と。


「いや、俺はこっちでいい」


エースは首を横に振ると、毛布ごと背中からイチカを抱きしめた。


「ちょ、ちょっと!」


抱きしめられたせいで、エースの顔が真横にある。それだけで、イチカの心臓は止まりそうだ。


「嫌か?」


ぎゅーっと抱きしめられ、耳元で囁かれる。エースは知っているのだ、彼女が嫌じゃないことを。


「……エースのばか」

「イチカが可愛いからつい虐めたくなんだよ」

「なにそれ」


イチカはエースにもたれ掛かりながら、また星を眺める。

視線は空を見たまま、彼女は話しかけた。


「エース、」

「なんだよ」

「あったかい…ありがと」

「どういたしまして」


エースが後ろから抱きしめてくれている御蔭で、寒さも半減した。
ただ、恥ずかしいのには変わりはないが。


「エースが見張り番のときは私が抱きしめてあげよっか?」


冗談まじりにそんなことを口にしてみれば。


「アホ。それは俺の役目だろ?」

「………ばか」








(朝までこのままでいてね)
(当たり前だろ、)
 

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あきゅろす。
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