お祝い夢小説
annual


ドタバタという扉の向こうの足音でエースは目が覚めた。

ゆらり、と上半身を起こす。まだ頭が起きていない為にまた寝てしまいそうだ。

こっくりこっくりとなりかけたとき、愛しい人の声が聞こえた。


「もう早くしてよー!エースが起きちゃうでしょーが!」


声色から推測すると、何やらご機嫌斜めらしい。


(………俺が起きる?)


エースは自分が起きると何か不都合があるのかと気になって、ベッドから降りた。

そして、扉へと向かい、がちゃりと開けてみる。


「お前ら何してんだ?」

「!!」


エースが首を傾げて言った刹那、驚いた表情をしたイチカやクルー達が一斉にエースの目の前に集まった。


「何もしてねぇよい」

「そうそう、マルコの言う通り!」


何か引っ掛かる。特に彼女の慌てようが…かなり。


「何か隠して「わぁあ!隠し事なんてしてないわよ!」


エースの視界を隠そうと必死のイチカは精一杯背伸びをした。
刹那、誰かに背中を押されて。

背伸びをしていたため、足が縺れエースにぶつかってしまった。

ぶつかられたエースは突然のことで支えきれず、二人一緒に仲良く倒れてしまった。


「いてっ!」

「ちょっ、何するのよ!」

「イチカ、後は俺らがやっとくから時間稼ぎ頼むぜい」

「ま、待っ―――」


イチカが言い終わる前にマルコはパタンと閉めた。
その閉ざされたドアを見つめ、彼女は内心冷や汗をかいた。


(私にエースの足止めなんて出来るわけないのに!)


諸事情により、ドアを開けることが出来ない。つまり、脱出は不可能。

どうしようかとイチカが思考を巡らせていると、下から声がした。


「……おい、」


何か嫌な予感がして、恐る恐る下を見ると…エースが。通りで、痛くないと思った。


「ごっごめん!」


慌てて上からどこうとした。が。がしっと腕を捕まれた。


「……な、なに?」


これまた嫌な予感が脳裏を過ぎった。……気のせいだと思いたい。


「……誘ってんのか?」

「誘ってない!これは事故だからね!?」


そう主張したが、イチカの視界はぐるりと回り、エースと天井しか見えなくなっていた。


「えーと、あの…エースさん?」

「何か言いたそうだな?」

「どいてほしいなーなんて、」

「そりゃ無理な相談だ」


エースは徐々に、顔を近付けてくる。お互いの唇の距離が数センチに迫った。

その時、タイミング良く閉ざされていたドアが開かれた。


「準備出来たぞい……って、何やってんだい」

「………マルコ」

「準備出来たの!?」

「うお!?」


エースが恨めしげにマルコを見ていたとき、準備完了と聞いたイチカはエースの下からの脱出に成功。

そして、エースの手を引いて外に出た。


「エース、誕生日おめでとう!」


彼の目に映ったのは、沢山の料理と巨大な誕生日ケーキだった。








(俺からはこれ!)
(お、おう)
(俺からはこれな!)
(サンキュー)
(私からはこれ!)
(イチカからはさっきの続きだろ?これは、お前の付属品として貰っとくぜ)
(!!変態エース)
(何とでも言え)
 

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あきゅろす。
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