お祝い夢小説
例えば空を游ぐ魚のように 2
「なんだかみんなもエースの誕生日を祝ってくれてるみたいだね!」
「…そだな!」
ジャンパーの袖に隠れたエースの手を探す。見つけたエースの手はなんだか私の手よりも冷たかった。
「エース、寒い?」
「いいや。イチカがいるから、そんなでもねェな」
気がついたら雪もやんでいた。ほんのちょっとしか降ってくれなかったな。明日には積もるかと思ってたのに。
「でもさ、一年の始まりが誕生日だなんてうらやましいな」
「そりゃあまた…なんでだ?」
「だって世界と一緒に歳を重ねていけるじゃない」
そっか、とそう笑ってエースは私を抱きしめた。ギュウ、と抱きしめた。
そっとでなく強くもなく、そうやって抱きしめられると愛しすぎて困る。悲しくもないのに瞳がじわっと濡れてしまう。
「…エース?」
「ん?」
「時間、きちゃうよ?」
「構わねェよ」
だからもうちょっとこのままでいさせて?とエースが苦笑して言うもんだから、「遅ェぞ」と親父に怒られるくらいいいかなと思ってしまう。でもきっと親父は許してくれるんだ。「だがエース、今日はてめェの誕生日だから特別だ…グラララ」って笑って。
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