お祝い夢小説
例えば空を游ぐ魚のように
雪が降ればいい。寒くなるならうんと寒く。からからに乾いた冷たい風が手を冷やして、それに息を吹きかけてみんなが鼻を真っ赤にするんだ。
「寒ぃな」
「だね」
この島の新年祭はたくさんの電球で飾られた夜店の行列で始まる。船でやる宴と似ているようで似ていない。
噛んでも噛み切れない甘いおもちにふたりして格闘したり、あきらめて飲み込んだせいで喉をつまらせたエースに甘いお茶を渡したり、ソースの匂いにつられて歩いてそれなのにソースが自慢なお団子の店を通り越して薄っぺらい煎餅に甘いカラフルな粉をふりかけて絵を書いたり。しまいには降ってきた念願の雪まで舌を出して受け止めると甘く感じた。
きっとエースといるせいだ。お祭りの雰囲気のせいだ。そして黄色いあったかそうな電球の行列のせいだ。雪が降るくらい寒いので群がる虫はいない。
「さっきまであったかかったのにな!」
行列から少しだけ高いところにある石のベンチが疲れた足にありがたい公園は、とても暗くて寒い。息を吹きかけたって触れるか触れないかのうちに周りの空気と溶け込んでしまう。
「きっと電球のおかげだよ。人もたくさんいたもんね!」
「あァ…そだな!」
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